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ポスト安倍は「令和おじさん」? 
菅官房長官の腹の内は

鈴木哲夫|2019年6月6日10:53AM

首相官邸。(撮影/編集部)

「まったく考えていません」

判で押した如く何度も何度も同じように答える菅義偉官房長官。いま永田町でポスト安倍に菅氏の名前が浮上していることを記者会見などで問われた時の答えだ。

安倍政権の危機管理を背負ってきた菅氏ならではの政治スタイルがある。菅氏とは長く1対1で話を聞く機会を得てきたが、その中では地方政策や行政改革、外国人労働者政策などを挙げ「(いまの官房長官ポストで)十分やりがいがある」と語ってきた。ところが、首相を目指すのかといった類いの野心は一切見せない。「危機管理に徹するために野心は封印する」というのがまさにその政治スタイルなのだ。

「個人の野心や背後の人間関係を見せてしまったらダメだということだ。それが見えると、たとえば、危機管理のために人事で更迭などを決断した場合、『自分のためにやっている』と思われてしまうからだ。過去の官房長官だと、後藤田正晴氏も自分の野心を見せなかったし、梶山静六氏などは利権が疑われるような業界団体とは縁を切っていた」(自民党ベテラン議員)

だから菅氏はキッパリと否定するのだ。

火付け役は自民党の二階俊博幹事長。月刊誌のインタビューでポスト安倍に触れ「(党総裁候補に)十分耐えうる人材だ」と答えたのだった。二階氏は、それより前には「安倍4選」の可能性にも触れるなど変幻自在の言動を続けているが、その背景には、安倍政権も総裁任期が最後の3期目に入り、ポスト安倍をめぐってキングメーカーたちが蠢き出したことがある。二階氏が菅氏の名前を挙げた真意は?

「2人は官邸側と党側で話が通じる関係。大阪維新の会への対応などでも維新に近い菅氏が二階氏に気を遣って連絡を取り意見交換して溝を埋めている。二階氏は今後の政局で連携してやっていこうというサイン。そもそも、ポスト安倍で主導権を握るため二階派と菅グループの合流もありだと話す二階派幹部もいる」(自民党幹部)

二階氏の発言だけではない。新元号の「令和」発表や先の統一地方選挙でも候補者調整で手腕を見せ、これも名前が一気に挙がった理由だ。「令和」会見のあと私はニコニコ動画で菅氏と独占対談を行なったが、生放送で4万3000ビューという記録的な視聴数だった。世間の菅氏への関心は高い。

【拉致担当として訪米】

ただ、永田町では不協和音も生じ始めた。まず、もっとも収まらないのが安倍晋三首相周辺。

「首相周辺には菅氏が内閣人事局などを通じ霞ヶ関を把握するなど元々その影響力を警戒する声が出てきていた。また、最近では首相の分野である外交でも日産・ルノー問題、北方領土問題などでも動いていることから、側近は『ポスト安倍を狙っていて、今回名前が挙がっていることで本人にその気が出てきているのではないか』と言い始めている」(前出ベテラン議員)

また、菅氏は5月9日から拉致問題担当相として訪米したが、今度は菅氏を支持する議員たちから首相への疑心暗鬼が生まれている。

「安倍首相が拉致問題を菅さんに任せたのは信頼というよりは、拉致問題がなかなか前へ進まないから菅さんに責任を負ってもらい、ダメだったら責任はすべて菅さん、つまり政権へのリスクを避けようというのではないか」(菅氏を支持する無派閥グループ議員)

菅氏のポスト安倍の実現性だが、任期内に安倍首相が失政・退陣した場合は前回の総裁選で党員票の半数近くを取った石破茂氏や、岸田文雄氏。満了まで行けば世代交代で小泉進次郎氏や河野太郎氏らが出てくることになるだろう。

「そう考えると菅さんは前者のタイミング。石破・岸田でぶつかり合う中で第三の候補として浮上する可能性は高い」(前出の菅氏支持議員)

最後の任期に入り求心力に苦心する安倍政権にとって、菅氏をめぐる党内の言動は新たな不安定要素と言えそうだ。

(鈴木哲夫・ジャーナリスト、2019年5月24日号)

 

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