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天安門事件30年 
香港に悲願の「六四紀念館」開館

和仁廉夫|2019年5月31日1:13PM

香港・九龍市街にオープンした六四紀念館。(撮影/和仁廉夫)

今年は中国民主化を要求した学生や労働者が軍隊に鎮圧された1989年の六四天安門事件から30年を迎える。毎年恒例の天安門事件犠牲者追悼キャンドル集会を前に、香港九龍市街地の一角に、六四紀念館がオープンした。

キリスト教会などが入居する古びた雑居ビルの10階に設けられた同館は、狭いスペースながらも30年前の惨事で犠牲となった学生・労働者の遺品などとともに、韓国の光州事件や、アラブの春、南アフリカのアパルトヘイトとの闘いなど、現代史上の人権民主の取り組みが手に取るように理解できる展示構成になっている。

また、今なお獄中にある中国の人権派弁護士も紹介されている。30年前の事件を見直さなかったことが新たな人権弾圧を招いており、事件が決して過去の問題ではないことを語りかけている。

同館は過去に尖沙咀の雑居ビルに開館したこともあったが、住民の反対運動や家主の意向で閉館した。その後も九龍郊外の競馬会施設に間借りして開館したことがあったが、これも期間が限られていた。今回も展示品搬入を前に悪意ある侵入者にビル設備を破壊される被害に遭ったほか、4月26日の開館日にも反対派が押し寄せて糞尿などをまき散らしたため6人が逮捕される一幕もあった。

数年にわたる紆余曲折を経ての悲願達成に、香港市民支援愛国民主運動連合会(支連会)の何俊仁主席は「この紀念館は恒久的なものです」と胸を張った。筆者が訪問した4月27日にも大勢の参観者があり、広東語に交じって時おり中国語普通話(標準語)の会話が聞こえてきたのが印象的だった。

所在地は地下鉄旺角駅A1出口の地上から彌敦道を北上し旺角道を左折して旺角道11―13號にある藝豊旺商業大厦の10階。開館は正午から午後6時までで、6月16日までは無休だ。

(和仁廉夫・ジャーナリスト、2019年5月17日号)

 

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