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常岡浩介さんが「旅券返納命令」取り消し求め国を提訴

片岡伸行|2019年5月22日10:30AM

東京・丸の内の日本外国特派員協会で会見する常岡浩介さん(中央)。(撮影/片岡伸行)

中東のイエメンを取材するため出国しようとしたところ、一方的に「旅券返納命令」を受け、パスポートを失効させられたのは違法であるとして、フリージャーナリストの常岡浩介さん(49歳)は4月24日、河野太郎外務大臣による旅券返納命令の取り消しなどを求める訴訟を東京地裁に提起した。

常岡さんは2018年12月にイエメンとオマーンのビザを取得し、オマーン経由でイエメンに向かったが、オマーンで入国を拒否された。そのためスーダン経由でのイエメン行きを計画し、スーダンのビザを取得して2月2日に羽田空港から出国しようとしたところ、入管職員から旅券が「無効になっている」と告げられ、同日〈23時15分〉の印字のある外務大臣名義のファクス文書「一般旅券返納命令書」を示された。理由は「オマーンにおいて入国を禁止されているため」で、「返納期限」は同日〈23時20分〉。ファクス受信時からわずか5分後だった。常岡さんは返納を拒否したが、同日付でパスポートは失効となった。

提訴後の会見で訴訟代理人の清水勉弁護士は「常岡さんはオマーンのビザを取得しており、旅券失効の法的根拠がない。しかも、旅券法では返納命令を出す前に聴聞・弁解の機会を与えなければならないが、外務省はその手続きをせず、さらに返納命令前にパスポートのデータを抹消したのも旅券法に反する行為だ」と指摘。「表現・メディア関係有志」によるアピールに名を連ねた田島泰彦・元上智大学教授は「これが許されるなら取材・報道の自由にとどまらず人道支援活動もできなくなる」とし「知る権利を脅かし、渡航の自由も制約される」と危惧した。

常岡さんは「日本では海外での人道危機報道が極端に少ない。私自身の利益というより、世界を見る視野を狭め失わせる日本の状況にブレーキをかけようと提訴を決意した」と訴えた。

(片岡伸行・記者、2019年5月10日号)

 

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