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セメンヤ選手の訴え棄却
男性ホルモン値の高い女性選手の競技出場制限

小林智香子|2019年5月17日12:00PM

5月3日、ダイヤモンドリーグ開幕戦ドーハ大会の女子800メートルで優勝したセメンヤ選手。(提供/AP・AFLO)

スポーツ仲裁裁判所(CAS、本部スイス)は5月1日、女子800メートル走の五輪金メダリストであるキャスター・セメンヤ選手(南アフリカ)の訴えを退け、テストステロン(男性ホルモン成分)値が高い女性の出場資格を制限するという国際陸上競技連盟(IAAF)の新規定を認めた。

セメンヤ選手は、2009年世界陸上競技選手権大会での金メダル取得以降、体格などから「女性性」を疑われてきた。検査で先天的にテストステロン値が高いことがわかっており、IAAFは、同値の高い女性選手の出場資格を制限する新規定を18年11月から導入すると同年4月に発表。同年6月に同選手と南アフリカ陸連が無効を求めCASに提訴していた。

CASは「自然に有する高いテストステロン値を規制するのは差別的」としながら「女子競技の公平性を守るために必要な措置」と裁定。しかも、高テストステロン値の効果が一番出る競技という研究結果の出ているハンマー投げと棒高跳びには資格規制せず、800メートル走に規制をかけたことは、セメンヤ選手をターゲットにしたと認めたも同然だ。

同規定は5月8日に発効。今後、セメンヤ選手が大会に出場するには、テストステロン値を下げる薬の服用が必要とされるが、同選手は服用しないと表明。不服申し立てをする予定だ。

(小林智香子・ライター、2019年5月17日号)

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