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類似表現指摘の「芥川賞」候補作が単行本化 
合意なしと憤る編者も

岩本太郎|2019年4月26日12:00PM

4月17日刊行予定の『美しい顔』。(「honto」より)

講談社(東京都文京区)は4月4日、昨2018年に同社の文芸誌『群像』が主催する「群像新人文学賞」を受賞した作家・北条裕子さんの小説『美しい顔』を単行本化のうえ4月17日に刊行すると発表した。東日本大震災被災者の女子高校生を主人公とした同作は昨年の芥川賞候補作にもなったが、石井光太さんの『遺体』(新潮文庫)など同震災による被災の様子をルポした複数のノンフィクション作品と内容に類似する箇所があるとの指摘がなされて騒動に発展。北条さんと『群像』編集部が類似点を認め、参考文献未掲載の件などを謝罪していた。

『群像』編集部は同誌5月号(4月5日発売)と講談社公式サイトの「お知らせ」(同4日付)で《文献の扱いについて熟慮し、文献編著者および関係者との協議と交渉を経て、著者自身の表現として同作を改稿いたしました》と説明。ところが、同作に「参考にされた」作品の一つとして昨年から名前の挙がった『3・11 慟哭の記録』(新曜社)の編者・金菱清さん(東北学院大学教養学部教授)は6日、自身が同誌や北条さん側と協議や交渉を経て改訂稿を認めたことはなく、《改訂案が一方的に送られてきました。原作者が「剽窃」の疑われている作品の改訂への関与など断じてありえません。編著者の関与について撤回訂正を求めます》と自身のツイッターアカウントで表明した。

講談社広報室は本誌取材に対し「金菱氏には陳謝するとともに版元を通じて誠意をもって交渉を続けてまいりましたが、残念ながらご理解をいただけませんでした」として上記の「お知らせ」では言及しなかったが新曜社経由での交渉が最終的に「先方から斥けられた」との回答(直接交渉は叶わなかった模様)。他の文献編著者や関係者とは交渉で理解を得られたと考えているとのことだった。とはいえ、ウェブ上では金菱氏による批判を受けてのさまざまな意見や見方も広がっており、これから同書が世に出て行く中でさらに議論を呼びそうだ。

(岩本太郎・編集部、2019年4月12日号)

 

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