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1万ガルの地震動が柏崎刈羽原発を襲う!?

内山成樹|2019年3月31日1:24PM

東京電力柏崎刈羽原発。(提供/ Kプロジェクト)

柏崎刈羽原発運転差し止め請求訴訟の第26回口頭弁論期日が3月18日、新潟地裁であり、筆者が地震動についてプレゼンをしました。

柏崎刈羽原発の地震動の想定には、多数の問題点があり、日本の原発の中で地震動の観点からすると一番の問題原発です。

この原発は2007年の新潟県中越沖地震で大きな被害を受けました。中越沖地震では地震動が地盤で4倍増幅したとされています(注)。

この中越沖地震を起こした断層がF-B断層ですが、原発敷地近くではほぼ同じ位置に長岡平野西縁断層帯の断層の断層面が存在します。ただ、長岡平野西縁断層帯が地表に現れるのは敷地の東側の陸の部分、F-B断層が現れるのは敷地の西側の海の部分なので、被告東京電力はF-B断層は海域の断層、長岡平野西縁断層帯は陸域の断層、だから海域の断層は増幅があっても陸域の断層は増幅がないと主張しています。しかし二つの断層は、敷地付近では、断層面が互いにほぼ同じ場所にあり、一方が増幅し他方は増幅しないなどということにはなるはずがありません。

 一方、長岡平野西縁断層帯は、まだ活動した記録がありませんので、次に活動するときにはどれだけの大きな地震となるかもわからないのです。特に短周期の地震動は、敷地にもっとも近いアスペリティ(強い地震動を発生させる領域)で、どれだけ強い地震動が発生するかによって大きく左右されます。中越沖地震では、このアスペリティで発生した地震動が平均的値の1.5倍だったとされています。

しかし、アスペリティで発生する地震動には、大きなバラツキがあり、平均的値の4倍に達する場合があります。これを「震源特性のバラツキ」といいますが、実際に近くで発生した2007年中越沖地震でも、震源特性のバラツキは相当に大きかったことが分かっています。そうすると、長岡平野西縁断層帯の地震では、震源特性は平均的値の最大の4倍となるおそれもあることになり、さらに地盤による増幅もあると考えれば、敷地での地震動は、最大1万ガルにも達しかねないのです。

また中越沖地震の地震動は、1~4号機(荒浜側)と5~7号機(大湊側)では増幅の程度が違い、荒浜側は大湊側の2倍の地震動増幅があったとされており、その増幅の要因を東電は説明しています。しかし、さらに問題なのは、1号機と2号機、5号機と6号機という互いに200メートルたらずしか離れていない号機間で、地震動の大きさが大きく異なることです。これについて、東電は説明を放棄しています。

要するに地下構造は極めて複雑であるのに、それを調べようともしていないのです。おそらくこのような複雑な地下構造は解明しようがないのでしょう。

これらの点について、法廷でのプレゼンで説明しました。傍聴席のみなさまからは分かりやすかったとおほめいただきましたので、裁判所にも柏崎刈羽原発の地震動の問題点が分かっていただけたのではないかと期待しているところです。

(脱原発弁護団全国連絡会地震動担当弁護士・内山成樹、2019年3月29日号)
※新著に『原発地震動に対する安全性の視点──原発はどんな地震のゆれにも安全でなければいけない』[七つ森書館])

〈注〉基準地震動の策定は原発の耐震設計の要であるが、2005年以後わずか10年足らずの間に7回も想定を超える地震動が原発を襲っている。

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