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衆院沖縄3区補選、屋良朝博氏が出馬会見

渡瀬夏彦|2019年2月2日8:00AM

1月1日、辺野古の浜で初日の出を迎え、国会議員となる誓いを立てたあと、午前中には知事公舎に駆け付け、玉城デニー知事(右)とがっちり握手する屋良朝博氏。(撮影/渡瀬夏彦)

4月21日投開票の衆議院沖縄3区の補欠選挙で、沖縄県知事選に出馬して当選した玉城デニー氏の後継候補者に屋良朝博氏(56歳、フリージャーナリスト・元『沖縄タイムス』論説委員)が決まった。政治家としての実力は未知数だが、可能性にあふれた存在だ。玉城デニー知事と知事周辺からの信頼は厚く、驚くほどスムーズに出馬要請、受諾の流れができた。

自民党県連は元沖縄北方担当相で内閣府大臣補佐官の島尻安伊子元参議院議員(53歳)の擁立を決めており、島尻氏と屋良氏による一騎打ちとなる見込みだ。

基地問題の専門家

屋良氏は、基地問題の専門家として20年以上にわたり、米軍を取材・研究・分析。近年は特に海兵隊の沖縄駐留の根拠がなくなっている決定的な事実を、理路整然と説明してきた。屋良氏は常々こう嘆いていた。

「どんなに正論を書いたり、講演会やシンポジウムを重ねたり、提言書を発表したりしても、大手のメディアにはスルーされてきたし、この国の方針は少しも変わらなかった。やっぱり政治そのものを動かさなくてはいけないよね」

2018年12月29日、沖縄市内で開かれた出馬会見でわたしは積年の思いを国会でどう活かしたいか訊ねた。返答は明快だった。

「基地問題はじつは単純な話です。あまりにも沖縄に集中しすぎている配置をどうするか、という問題です。軍事は、安全保障の一部にすぎません。普天間問題は、その軍事の部隊や基地を具体的にどう動かすのか、です。人、モノ、カネをどう動かすかを決定するのは、(軍ではなく)政治なんです」

補足説明すれば、つまり、これまでの経験と構築してきた理論を活かし、沖縄から基地を減らして経済を活性化させていく未来への構想を、国会の場に持ち込み議論する絶好のチャンスが来た。屋良氏はそう自負し、意欲を漲らせているのだ。

あらためて電話で聞いた。

──屋良さんが全国の読者にいま一番伝えたいことは?
「沖縄の問題は日本の問題です。日本が変わらないと問題は解決しません。日本は本当にこのままでいいのですか、と言いたい」

──もう少し説明してください。
「ロシアのプーチン大統領でさえ、沖縄の米軍基地問題を見ていると日本が主権国家かどうか疑わしい、というツッコミを入れてきていますね。『ニューヨーク・タイムズ』の社説も、辺野古に基地は要らない、と書くようになっている。しかし、日本だけが『辺野古が唯一』などと言って、ガチガチに凝り固まった考えのままです。日本の政府は、冷戦後も安全保障の概念を変えないまま、軍事強化一辺倒の考えを維持してしまっている。安全保障=軍事、という考えは間違いです。外交や民間交流も含めての安全保障です。わたしは玉城デニー知事が翁長雄志前知事から引き継ぎ、そして独自に発展させようとしている『沖縄をアジアの平和のための緩衝地帯にする』構想に賛同しています。ぜひ国会でムーヴメントを起こしたいですね」

英語が達者な屋良氏は、フィリピン大学に留学・卒業し、中国の人々とも本音で意見交換してきたアジア通だ。もちろん米軍関係者やアメリカの政治家、シンクタンク研究員とも直接本音をやりとりできる人物である。この国全体にとっても重要な仕事を成し得る存在だ。沖縄の選択に注目が集まる選挙戦の火ぶたが切られるのは、3カ月後である。

(わたせ なつひこ・ノンフィクションライター、2019年1月11日号)

 

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