サウジアラビア、「#裏返しのアバヤ」運動
小林智香子|2018年12月12日7:00AM
「#裏返しのアバヤ」というハッシュタグと抗議活動がいま、サウジアラビアの女性の間に広がっている。アバヤは、サウジアラビアで女性が外出の際に着用を強要される頭、手、足以外の全てを覆う民族衣装で、基本は黒色だ。
サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子は3月、インタビューで「男性と同じく、品と礼儀を重んじる服装であれば、女性が着るのはアバヤでなくてもいい」と述べたが「アバヤを着なくてもいい」という法令は発布されていない。黒以外のアバヤを着る女性も出てきたが、服装が自由になったわけではない。
服装まで国や男性の家長に決められる抑圧への抵抗として女性たちが思いついたのが、アバヤを裏返しに着て写真を撮り、その写真にアラビア語や英語で「#裏返しのアバヤ」というハッシュタッグをつけてツイッターに投稿すること。
顔は写真に写さないが、裏返しにしたアバヤは縫い目や黒以外の色の裏地が丸見えだ。そこに女性たちの密かな抵抗が凝縮されている。
そしてその写真をツイッターで発信することで、サウジアラビアのどこかで同じようにアバヤを裏返しに着て抵抗している女性たちとつながることができるのだ。
(小林智香子・ライター、2018年12月7日号)