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刑法・性犯罪改正問題──積み残し課題解決目指し市民プロジェクトが集会

宮本有紀|2018年12月11日6:32PM

障がい児者への性暴力(詳細はhttp://disabled.shiawasenamida.org/)」について手話をしながら話すNPO法人「しあわせなみだ」の中野宏美理事長。(撮影/編集部)

刑法性犯罪規定は2017年に大幅改正され、強制性交の被害者に男性が含まれ、被害者告訴不要(非親告罪化)となるなど一歩前進した。ただ、多くの被害者・支援者らが緩和・撤廃を要求した暴行・脅迫要件(13歳以上なら暴行や脅迫がなければ性交同意がなくても罪に問えない)が残り、性交同意年齢が13歳と低いこと、時効ゆえに性虐待を処罰できないことなど積み残し課題も多い。

その課題の解決を目指す12の市民団体からなる「刑法改正市民プロジェクト」が11月21日、衆議院第一議員会館内で「本当はどうなっているの? 性暴力被害・現場からの報告」集会を開催。与野党議員を含め150人が参加した。

「ヒューマンライツ・ナウ」の伊藤和子さんは、各国の性犯罪規定を解説。英国では性行為には必ず「同意」が必要で、ドイツは16年の改正で暴行・脅迫要件をなくしたこと、スウェーデンでは無意識・深刻な恐怖・酩酊その他薬物の影響・障がいなどの状況を悪用した場合にもレイプと認められることなどを列挙し、日本でも不同意の性行為をすべて処罰対象にすること、性交同意年齢を少なくとも16歳に引き上げること、セクシュアルハラスメントに対する刑事罰を導入することなどを主張した。

英国の状況を視察してきた「Spring」の山本潤さんは、性暴力専門の捜査官のいる警察と被害者支援がつながる制度や被害者の負担にならない証言システム、通報率をあげる取り組みについて説明。

一方日本は、「性暴力救援センター・東京」の田辺久子さんが「非親告罪になっても警察の対応にあまり変化はない。暴行・脅迫要件にあてはまらないという理由で事件化できないと言われたり、被害相談に行ったのに事件性はないからと被害届を出さないという念書を書かされる」と、新たな二次被害が起きていることを指摘した。

なお、右の例のように被害届とならず被害相談となっている実態について調査する計画はあるかとの質問に法務省側は「警察の案件なので把握は難しい」と回答。障がい者への性暴力についての調査もできておらず、警察官への意識研修なども課題が残る実態が明らかになった。

(宮本有紀・編集部、2018年12月7日号)

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