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ブラックアウトの危険性は北海道だけ?
対策は再生エネの活用か

竹村英明|2018年10月5日12:08PM

9月6日午後7時半ごろ、信号や街灯が途絶えた北海道滝川市中心部の国道。(撮影/平田剛士)

9月6日の北海道胆振東部地震によるブラックアウトで、運転停止中の泊原発も外部電源を喪失、使用済み核燃料冷却を非常用電源に頼ることになった。3号機まである泊原発が1機でも動いていればブラックアウトにならなかったという説を流布する人もいるが、これは送電網の怖さを知らない愚論だ。消費電力の需要が300万キロワット程度の深夜に、合計207万キロワットの泊原発フル稼働はあり得ない。

泊原発を動かすなら、せいぜい1、2号機合計のおよそ110万キロワットか、3号機のみの約90万キロワット。そのとき苫東厚真火力発電所はフル稼働で、地震直後に落ちるのは今回と同じ。ブラックアウトは起こり、泊原発は運転中核燃料を抱えて外部電源を喪失する。

運転中核燃料の熱は、5年間冷却中の使用済み核燃料とは数千倍違う。今回は水も非常用電源も足りたが、核分裂中の核燃料を抱えた状態では、水は1週間どころか1日も持たない可能性もある。それで何が起こるかは賢明な読者であれば想像できるだろう。

ブラックアウトの原因は、深夜の電力需要が少ない時間帯に、巨大発電所の供給力に半分以上頼る運転方法にある。一気に半分の電源を喪失したら何が起こるか、電気事業者は考えなければならない。北海道電力は、石狩湾新港火力(計170万キロワット)の新設と北本連系線の増強がそれだと言うが、二つともブラックアウト対策にはならない。

苫東厚真火力や泊原発がある中で、さらに巨大な発電所を増やしても、需要の少ない深夜の供給力の助けにはならない。北本線は、青森県と北海道をつなぐ直流送電線で、現在30万キロワットを60万キロワットに増強する工事中だが、ブラックアウトに連動し、北本線につながる変電所も使用不能になった。

つまり、ブラックアウトの根本原因は、送電システムも発電所立地の考え方も供給力の激しい変動を想定していないことだ。背景には、右肩上がりの経済成長だけを考え、電力不足に備えひたすら発電所を作れという政府の間違った考え方がある。電力会社はそれに従って、現実に合わない危険な送電システムを作り上げてきた。

ブラックアウトの発端は周波数の激しい増減で、電気が足りずに起こるだけでなく、多すぎても起こる。地震に発電所は持ちこたえても、大きな工場等が軒並み停止すると電気が大量に余る。対策は、こまめに供給力を変えられる、小さな発電所をたくさん作ることだ。次に、すぐに止めたり動かしたりできることだ。苫東厚真火力は石炭火力である。原発も出力調整できない木偶の坊だが、石炭火力もほぼそれに近い。立ち上げには数日間かかるし、すぐには止められない。

小規模な電源としてすぐ思い浮かぶのは再生可能エネルギーである。北海道には、6600万キロワットに及ぶ風力発電ポテンシャルがある(風力発電協会「北海道における風力発電の実状と期待」より)。現時点では35万キロワット程度だが、これが300万キロワットで稼働率50%程度であったなら、苫東厚真火力は発電機1台程度に絞られ、おそらく、ブラックアウトは起きなかっただろう。

【九州電力も同じ危険性】

残念ながら、間違った観念は日本の旧一般電気事業者に共通している。危険な送配電システムを持ったまま、相変わらず巨大発電所に頼っている。

特に九州電力は最小需要電力が650万キロワット程度なのに対し、供給側には玄海原発2基と川内原発2基の合計4基の合計で414万キロワット、太陽光発電が747万キロワットある。

出力調整できない原発4基をフル稼働させているのだからたまらない。太陽光発電を抑制するとは言っているが、実は電力側から制御できないものも相当ある。一歩誤ると九州ブラックアウト、4基の原発が外部電源喪失という恐ろしい事態となる。早めに原発を止めておく道を選ぶべきであろう。

(竹村英明・市民電力連絡会理事長、2018年9月21日号)

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