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国籍のこと

小室等|2018年9月17日7:00AM

前々回の、「在日コリアン二世の李政美さんの国籍は北朝鮮だったが」と記述してしまったことについて、正確には北朝鮮ではなく「朝鮮」ではないかと指摘する手紙を編集部にいただき、すぐにぢょんみさんに電話をすると、「はい、それは間違いです」とたしなめられた。

正確には、「朝鮮」籍だったのを韓国籍に変えたのだそうだ。たしなめられついでに国籍問題を詳しく聞こうとしたら、それは朴慶南さんに聞く方が良いとのことで、キョンナムさんに連絡したら、著書でそのことについて触れているという。

その著書『あなたが希望です』(新日本出版社)の六二頁に、
〈「朝鮮」籍は、北朝鮮国籍とよく間違われますが、日本は北朝鮮と国交を結んでおらず、国として認知していないため、日本において北朝鮮国籍は存在しません。

日本国憲法が施行される前日の一九四七年五月二日、「外国人登録令」が公布されて、在日朝鮮人すべての外国人登録証の国籍欄には「朝鮮」と記載されました。

朝鮮半島にまだ正式な国家が樹立されてなく、日本政府は便宜的に地域名を示したのです。それがいまにつづいているわけですが、「朝鮮」ではパスポートを持てないなど、さまざまな生活上の不自由さもあり、現在は韓国籍が大多数を占めています。〉
とある。

「朝鮮」籍は国籍ではないのだ。併合時代は臣民を押し付け、都合悪くなると便宜上の「朝鮮」籍という酷い話を、ほとんどの日本人は知ろうともしない、僕も然り。

現在「朝鮮」籍の比率、キョンナムさんによると一割弱らしい。 確かに、キョンナムさん、ぢょんみさん、韓国籍。映画『獄友』の監督金聖雄さんにも電話した。監督も韓国籍。お連れ合いが日本国籍の日本人。お子さんは二重国籍だったが成人を機にとりあえず日本国籍にしたらしい。

ぢょんみさんは、〈娘は韓国籍で朝鮮名を名乗り、孫は日本人とのダブルですが、朝鮮名を使っています。わたしは日本国籍を取得する考えはありません。いずれ娘は日本国籍を取ることになると思いますが、朝鮮名をそのまま使いたいといっています〉(『在日二世の記憶』集英社新書)と言っている。

そのへんの事情を聞きたくて電話したら、韓国に行っているという。そう、彼女は頻繁に韓国に出かけて行っている。在日という立場の人間が果たす役割は大きい。もつれた日本と韓国間の問題を、やがては北朝鮮との問題をも、ほぐしていけるのは在日という立場を生きる彼女たちかもしれない。

ああ、書かなければならないことは山程あって手に負えないけど、身近な韓日問題、次回も。

(こむろ ひとし・シンガーソングライター、2018年7月27日号)

(編注)本文の引用文中にあるとおり、日本政府は「北朝鮮国籍」を認めていませんが、国籍は帰属国と本人の問題なので、「北朝鮮」に自らが帰属していると考える人が日本にもいます。この在日コリアンの国籍について、小室等さん、編集部で考えていきたいと思います。

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