石垣市長が陸自配備「受け入れ」
県アセス条例施行前に配備進める狙いか
2018年8月8日10:22AM
陸上自衛隊の配備問題に揺れる沖縄県石垣島で7月18日、中山義隆石垣市長が配備「受け入れ」を表明し、波紋を呼んでいる。中山氏は2016年にも事実上の受け入れを表明したが、今年3月の市長選で3選した後に、表明するのは初めて。選挙期間中、中山氏は配備問題の争点化を避けていた。これを受けて小野寺五典防衛相は7月20日、用地取得や工事開始に向けて作業に入る考えを示した。
突然の表明の背景には、10月1日に改正県環境影響評価条例(県アセス条例)が施行されることがあるとみられる。対象事業に「土地の造成を伴う事業」が含まれるようになり、条例が適用されれば配備計画に大幅な遅れが出る。さらに表明の直前には、育鵬社教科書の採択拡大を進める日本教育再生機構に対し、石垣市長を含む教育再生首長会議が公費を財源とする年数百万円を支払っていた事実を『沖縄タイムス』がスクープ。これが大きく問題化する前の時期を図ったとの憶測も出ている。
地元記者によると、中山氏は18日の定例記者懇談会直後、記者らを呼び止め、「(配備の)必要性を理解した上でそれを了解し、今後は石垣市として同計画への協力体制を構築」すると発言。県内外の12報道機関からなる八重山記者クラブや、市長選の際に中山氏を支持する条件として、「緊急、重要課題」は両者で協議をするとの協定合意を結んでいた公明党八重山連合支部へも事前告知がなかった。大石行英支部長は「重大な協定違反」だと指摘。配備推進派の市民からも、「地域分断に拍車がかかる」「姑息で恥ずかしい」などと批判が高まっている。
市議会野党連絡協議会は18日夕、緊急で抗議会見を開き、「暴挙」だと強く批判。配備候補地近隣の4地区も参加する「石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会」や、石垣市民らによる「いのちと暮らしを守るオバーたちの会」もそれぞれ、抗議と怒りを表明した。
(本誌取材班、2018年7月27日号)