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「豪雨災害は安倍政権の人災」
嘉田前滋賀県知事が指摘

冨田きよむ 横田一|2018年7月23日12:52PM

約200mにわたって決壊した小田川支流の高馬川。県道を破壊した。中央奥に削られた部分が見える。(岡山県真備町、7月9日。撮影/冨田きよむ)

 

「ここまで酷いとは思わなかった」

西日本を中心に襲った豪雨災害で、街の広い範囲が“水没”した岡山県倉敷市真備町の農家。ぶどう栽培を営み、本来なら収穫や出荷準備に明け暮れる時期だが、豪雨はぶどう農家に深刻な打撃をもたらした。被害がどのくらいになるのか見当もつかない。真備町民の7割以上が被災したという。

少なくとも4カ所で堤防が決壊した。高梁川と小田川が合流するこの地域は、元々土地が低く、これまでもたびたび大規模な洪水を経験している。

「洪水を恐れ、堤防を高くしたことがあだになった。元の水位が家の屋根を超える高さ。越水と同時に決壊した」と、排水施設を管理する住民が肩を落とす。「川の水位が上がりすぎるといくらポンプを動かしても水は循環するだけで水位は下がらない」4カ所の排水施設はすべて水没し壊れた。

真備地区に住む井上眞理子さんは、「娘が跡継ぎを決意してくれて、初めて植え、育て、やっと実った最初のぶどうが壊滅した。悲しくて悔しくて」と涙ぐんだ。

唯一の救いは、実家が被害を受けた友人のために集まる若者の姿と明るさ。高校生らが倉敷駅で10日から災害復旧の募金活動を始めた。「友達の家にも被害があった。いてもたってもいられなくて募金活動をしようと集まった」と話す。若者が勇気を失っていないのが被災地のわずかな希望だ。

(冨田きよむ・フォトジャーナリスト)

今回の豪雨災害の被害者は死者130人以上、行方不明70人以上(10日現在)にも達する。だが、危機感の乏しさに批判が噴出しているのが安倍晋三首相だ。

気象庁は5日14時に「西日本と東日本で記録的な大雨となるおそれ」と発表していたが、非常災害対策本部設置は、8日午前8時。初動の遅れを棚に上げ、「救命救助、避難は時間との戦い。引き続き全力で救命救助、避難誘導にあたってもらいたい」と述べた。

だが、首相は災害が悪化の一途をたどっていた5日夜、自民党議員が開いた飲み会「赤坂自民亭」に参加していたのだ。片山さつき参院議員はこうツイートした。

「安倍総理 初のご参加で大変な盛り上がり!内閣からは上川法務大臣 小野寺防衛大臣 吉野復興大臣、(中略)総理とのお写真撮ったり忙しく楽しい!」

日本初の流域治水条例を作った河川政策の専門家の嘉田由紀子前滋賀県知事は「代々の自民党政権の“人災”。堤防決壊で水没した倉敷市真備地区はハザードマップの危険区域で、住民にリスクが十分に知らされていなかった。しかも最も重要な堤防補強が二の次で、治水効果が限定的なダム建設だけが優遇されていました」と話す。

“人災”の可能性は十分にある。

(横田一・ジャーナリスト、2018年7月13日号)

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