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東京医科歯科大学、吉澤学長が批判派を粛清

川村昌代+POWER NEWS取材班|2018年7月5日2:08PM

病院への人事介入

東京医科歯科大学の学長の任期は3年で、一度の再任が認められている。現在の吉澤靖之学長は2014年4月に就任。その2期目続投を問う学長選考が16年12月に行なわれた。

現在、国立大学の学長は、文部科学省が独立行政法人化など経営の効率化を進める中、各大学の自主ルールに則り選考会議を設置し、選考委員の投票によって選出される。かつて小説『白い巨塔』に描かれたような壮絶な選挙はなくなった。

国立大学法人法で学長選考会議の委員は、学外内でそれぞれ同数と定められ、医科歯科大は各4人、計8人で構成される。候補者は各委員の推薦によるため、学内の教授や教職員の意向をくみ上げることもできる。

実は、前出の河野氏は、吉澤学長の対抗馬だった。吉澤学長の方針が「独善的だ」とする学内の鬱積した不満を背景に、当時東京医科歯科大附属病院の副院長で外科の筆頭教授だった河野氏が担ぎ出されたのだ。ところが、執行部の強引な裁定により、河野氏は吉澤氏に敗れる結果となった。

河野氏が学長選で学長の対立候補となった経緯から「学長の信頼を失ったので、管理者は高元さんに続けてもらう」と学長の側近である同大の田中雄二郎理事から一方的に告げられたものだった。

高元氏は学内では吉澤学長の直系といわれている。つまり、吉澤学長の個人的意趣返しのため、不正手術の首謀者が病院に残留することになり、河野院長(当時)が即時中止の意向を示したにもかかわらず、その後約半年にわたり危険な手術が続けられたのである。

地元草加市や草加市議会は、それでも河野院長を中心にした病院運営を望んで医科歯科大の吉澤学長側と折衝したが、大学側は聞く耳さえ持たなかったという。昨年末、河野院長は抗議の意を示すため、自ら辞職した。

そして今年2月、『週刊金曜日』とNHKの特報で病院の不正手術が明るみに出たことで、草加市の田中和明市長らが積極的に事態の打開に乗り出し、4月には河野氏が病院長よりも権限の強い事業管理者として復帰した。第三者による調査委員会を発足させるなど、立て直しも進んでいる。

“河野外し”の人事介入の張本人である吉澤学長は当然面白くないようだ。草加市関係者が言う。

「新体制になった挨拶の意味で、田中市長が河野管理者とともに吉澤学長に面会を申し込んだのですが、会おうとしない。今後は協力しないということなのか」

それだけではない。学内では、先の学長選考で吉澤学長の続投に反旗を翻した面々に、次々と陰湿な報復が繰り広げられている。

読売新聞グループ本社代表取締役主筆の渡邉恒雄氏や元ソニー会長の出井伸之氏など著名人がからむ学長選の詳細や、学内を支配する恐怖、内閣官房や経済産業省を怒らせた出来事について、7月6日(金)発売の『週刊金曜日』が詳しく報じる。同誌は書店などで販売する紙版のほか、アプリを使った電子版でも購読できる。

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