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【南北首脳会談緊急企画】
韓国統一部元長官が語る北朝鮮の非核化、平和構築

韓元常|2018年4月27日12:17AM

朝鮮半島非核化のために

――非核化の解決策では、北朝鮮と米国の立場が違います。米国は、03年にはリビアと、15年にはイランとの間で、核兵器廃棄に向けた「核合意」をした。リビア式解法とイラン式解法、また、ゴルディアス式解法で、北朝鮮の核関連問題を妥結する可能性はありますか。

リビア式解法やイラン式解法は、有用な方法だと思う。しかし、リビアと米国、イランと米国の関係と、北朝鮮と米国の関係では状況が根本的に違うと思う。リビアとイランは当時、米国にとって直接的な脅威ではなかった。だが、現在、北朝鮮のミサイル能力や核兵器の開発は、明らかに米国にとって脅威となっている。したがって、北朝鮮の核関連問題を解決するためには、イラン式、リビア式、ゴルディアス式解法ではない、第三の「北朝鮮式解決法」を追求することになるだろう。

 

では、北朝鮮式解決法とは何か。北朝鮮の問題は、北東アジアの安全保障の問題、南北問題、そして米中関係が尖鋭的につながっている。北朝鮮の核の解決策は、米朝関係の解決、南北関係の強化、米中間の適切な調整、そして日本と北朝鮮の関係正常化などが絡み合う複雑な方程式である。結局、ここで最も大きな役割を担うのは、米国のトランプ大統領と中国の習近平(シー・ジンピン)主席だろう。そのため両国間で北朝鮮問題について適切な合意がなされることが必要である。今回の南北首脳会談、米朝首脳会談後には、南北米首脳会談が必要ではないか。また、ここでは、南北中首脳会談も必要に応じて開催しなければならないと考えている。さらに、米国と中国、そして南北が参加する4者首脳会談だ。金大中(キム・デジュン)大統領の時も、4者首脳会談について相当な力点を置き、4者(4カ国)の外交関係の強化が朝鮮半島問題を解決する糸口になると主張した。4者首脳会談が開かれた場合には、「10・4宣言」(07年)で明らかにしたように、関係国の首脳が朝鮮半島に集まり、朝鮮戦争の終結と平和体制構築への議を行なうものと考えている。

 

――それを第三の解決策と位置づけてもいいでしょうか。

私はそのように考えている。当時、金正日(キム・ジョンイル)国防委員長は「3者または4者会談の首脳が朝鮮半島に集まって終戦と平和体制について会談することを、盧武鉉大統領が主導的に米国と関係国を説得してきてくれたらいい」との意見を提示したことがある。私は今でもこれが有効であると考えており、文在寅大統領の役割が重要だ。

 

――それでは第三の解決策は、何と呼ぶべきでしょうか。

「北朝鮮式解法」または「韓半島(朝鮮半島)式解法」とすることはできないか。

 

――では、北朝鮮の核問題を解決するためにはどうすべきですか。

対北朝鮮制裁への最も強力な意志を持っているのは、やはり米国である。まず、米国が態度を軟化させなければならない。北朝鮮の非核化への解決策は、米国と北朝鮮が会談を通じ、最終的に解決しなければならないと考えている。米朝間で解決の糸口が示されれば、そこに、中国、日本、ロシアなどの関連国が協力して、解決策を探っていけばいい。

 

――金正日国防委員長が言及した3者または4者首脳会談はどの国を想定したのでしょうか。

3者または4者首脳会談が誰であるかということは、議題ごとに異なると考えられる。韓国と北朝鮮に加え、第三の国は、米国にもなるし、中国にもなる。私は朝鮮半島の平和のためには日本もなれると考えている。
もちろん、ロシアも参加可能だ。南と北と米国、南北と中国、もしくは南北米中を想定することができるだろう。当時、金正日国防委員長がどの構想を考えていたのかを知ることはできなかったが、南北会談を中心に周辺国との議題に沿った2者または多国間協議を想定していたのではないかと思う。

 

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