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名誉毀損の賠償額を上げた公明党(佐高信)

2018年2月1日4:14PM

70代半ばの城山三郎が鬼気迫る勢いで反対した個人情報保護法の「熱心な推進者」は創価学会名誉会長の池田大作だった。週刊誌を中心とする自らについての報道を規制しようとした池田は、自民党と公明党の連立政権合意にわざわざそれを突っ込ませたと2001年6月号の『月刊現代』「早耳・空耳・地獄耳」欄に書いてある。

そのことを証明するように同年3月21日の参議院法務委員会で公明党の沢たまきがこう質問している。

「言論の暴力によって計り知れない苦しみを受けている人がいます。名誉毀損の賠償額が百万円程度では、とても納得できません。賠償額を引き上げるべきだと声を大にして言いたいんですが、最高裁のご意見をお伺いします」

また、2カ月後の5月16日、今度は衆議院の法務委員会で公明党幹事長(当時)の冬柴鐵三が執拗に迫った。

「週刊誌でまったく事実無根のことを書かれ、本人にとっては大変深刻な名誉を侵害されたという訴えを起こしましても、容認される額がまことに雀の涙というのが実情だが(この実態を)ご説明いただきたい」

「私が調べましたところ、八〇年代には、訴えを起こしても棄却例が多く、許容されても百万円以下という事例がほとんどでした。九〇年代には五百万という判決も出ましたが、下は二万円という具合。受けた損害に比べて、許容額があまりに低いのではないか」

「アメリカでは懲罰的賠償制度があり、百万ドル、一億数千万円を超える例も出ている。これは、報道による人権侵害というものを許さない姿勢から出ているものだと思う。日本では、なぜこれが認められないのか」

「日本の場合も、マスメディアによる名誉毀損というものが行われた場合に、民事における損害額が僅かであっても、刑事手続きにおいて、きちっと処罰をされるようになれば、一般的威嚇効果もあって抑止されるのではないか」

私はこれを『週刊新潮』の記者だった門田隆将著『裁判官が日本を滅ぼす』(WAC)に拠って書いているが、最高裁民事局長の千葉勝美は、重く受けとめ、下級裁に対して情報提供を続ける、と答えている。

自民党・平沢勝栄の山口那津男への抗議

創価学会の意を受けた公明党の働きによって、賠償額は高くなり、言論の萎縮化が進んだ。池田大作の代弁者と原発文化人は重なるが、彼らはこれを認めていることになる。自分は許されているからいいということなのだろう。

この直前の2000年の総選挙では、こんなことがあった。当時、自民党の幹事長だった野中広務は公明党に気を遣って公明党の山口那津男と同じ選挙区の平沢勝栄に公認を下ろさず、ようやく解散の日にそれを出した。

山口は演説で「平沢候補はカネをばらまいて票を買っている」と言い、平沢はそれを報じたテレビ朝日の『ニュースステーション』に抗議、山口に内容証明を送った。

それに対して山口は「週刊誌に、その種の記事が出ていた。また町内会行事のときに、カネを包んだことが新聞に書かれてあった」と答えたのである。それで平沢はまた抗議する。

「あなた方の考えはわかった。週刊誌などに書かれたことが事実だというのなら、週刊誌には、創価学会の池田大作さんのことも書かれている。これも、すべて事実だということでいっていいのか」

元警視庁防犯部長の平沢は1999年9月24日の『朝まで生テレビ!』で「創価学会・公明党は刑事事件のもみ消しまで頼んでくる」と発言した。

(さたか まこと・『週刊金曜日』編集委員、2018年1月19日号)

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