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植村隆名誉毀損訴訟の第11回口頭弁論で指弾 西岡力氏の捏造決め付けは「確信犯」

報告集会で説明する穂積剛弁護士。1月31日、都内。(撮影/長谷川綾)

「被告西岡は確信犯」「『慰安婦』問題を報道した原告を攻撃するため、捏造記者扱いした」。1月31日、元『朝日新聞』記者植村隆氏が西岡力・元東京基督教大学教授と文藝春秋を東京地裁に訴えた名誉毀損訴訟の第11回口頭弁論で、植村氏代理人の穂積剛弁護士は西岡氏を「悪質」と指弾した。植村氏が書いた元日本軍「慰安婦」金学順氏の証言記事を「捏造」と主張する根拠(前提事実)が間違いだらけで、かつ西岡氏がそれを知りながら「意図的に虚偽の指摘を続けている」というのだ。

「捏造」表現を巡り、西岡氏側は「意見・論評」で表現の自由の範囲内であると主張している。植村氏側は今回、かりに「意見・論評」であっても、名誉毀損の記述をしても免責される(1)前提事実の重要部分が真実である「真実性」(2)真実と信じる相当な理由がある「真実相当性」――の2要件を満たしていないと論証した。

たとえば『正論』2014年10月号の論文だ。西岡氏は、植村氏が1991年8月11日の『朝日』大阪本社版記事で「『女子挺身隊』の名で戦場に連行され」と記述した点を「本人が語っていない経歴を勝手に作って記事に書く、これこそ捏造ではないか」と非難。その根拠として、証言テープでも、3日後に金氏が名乗り出た記者会見でも述べていないと断定した。だが、植村氏側は「テープは植村氏すら持っておらず、証拠提出もされていない。どう確認したのか」と指摘。韓国紙『東亜日報』『中央日報』と『北海道新聞』が、金氏の会見での「挺身隊」発言を報じており、「捏造」の前提事実は誤りで真実性がないとした。

西岡氏は著書で「韓国では、当時は『挺身隊』というと、慰安婦のことだと誤解されていた」と記述。植村氏側は、両者の「混同」を知る西岡氏が、金氏だけ「挺身隊」と語っていないと「過失で信じ込んだ」ことはあり得ず、真実相当性もないと主張した。

(長谷川綾・新聞記者、2018年2月9日号)

「家庭教育支援法案」の問題点訴え、院内集会 自民党の狙いは24条改憲か

当日は市民・メディア・野党議員も含め80人ほどが参加した。(撮影/岩崎眞美子)

自民党が今国会で提出を目指している「家庭教育支援法案」の問題点を訴える院内集会が、1月29日、衆議院議員会館で開かれた。主催の「24条変えさせないキャンペーン」の呼びかけ人、角田由紀子弁護士は、戦前の家制度と決別し、徹底して個人の尊重・尊厳を謳う憲法24条に対立するものとして同法案を位置づけ、その射程上に24条の改憲もあることを示した。

「戦前戦中、日本の家族は天皇制―家父長制の末端としてその仕組みを支えた。戦争を支える人を再び作ろうとするのがこの法案。人間は国の資源ではない。子どもたちが自由で健やかに安心して暮らせる社会を作ることが行政の仕事なはず」(角田氏)

続いて憲法学の清末愛砂さんも、社会は家族単位ではなく、個人の人格の尊重と尊厳に基づいて形成されるべきと主張。

「『尊重』は自己決定権であり、『尊厳』は侵されてはならない基本的人権のこと。憲法13条が前者を、24条が後者を謳っている。この二つの違いを認識した上でともに語ることが重要だ」と述べた。

たとえば深刻な社会問題である児童虐待事案も、公権力が児童保護のため家庭に介入する必要が生じる場合「児童虐待防止法」などの法整備の拡充などで十分対応できる。一方、家庭教育支援法は、一般の家庭や子育てに、公権力が「支援」の名で介入しようとするもの。虐待を受けている子どもたちの被害が「親を大切に」の価値観の中で不可視化される可能性もある。

児童虐待の現場を多く取材してきたルポライター杉山春氏も「家族なら、親ならちゃんと子どもを育てなければいけない、という規範が、むしろ親を追い詰めている」と述べ、子育てを家族だけに押しつけない支援の必要性を述べた。

すでに、熊本県など8県5市の地方自治体で家庭教育支援条例が制定されている。問題点を認識し、法案提出阻止に連携を強めていきたい。

(岩崎眞美子・ライター、2018年2月9日号)

「お手盛り」で地方議員の年金復活の動き 国会議員年金再興の思惑のぞく

「特権」との批判を受け、地方議員の年金は2011年に廃止されている。それがここへきて、与党内で「復活」の動きが活発になってきた。開会中の通常国会への関連法案提出を目指している。

名目は「人材の確保」。ただ、自民党内には06年に廃止となった国会議員年金の再興につなげる思惑もちらつく。「お手盛り」としか言いようのないふるまいだ。

自民、公明両党が地方議員の年金復活で足並みをそろえたのは、昨年12月6日の与党幹事長・国会対策委員長会談の場。19年春の統一地方選を念頭に、自民党の森山裕国対委員長が「引退後の生活にある程度の担保がないと、地方議員のなり手がいなくなる」と訴え、公明党の井上義久幹事長も「31道県、324市区、675町村議会から意見書が出ている。検討していきたい」と応じた。

かつての地方議員年金は、現職の掛け金と自治体の負担金で運営され、12年在籍すれば公的年金に上乗せして支給された。だが議員の減少で財政難に陥り、「議員特権の象徴」との批判も浴びて11年に廃止された。今は専業の議員なら国民年金(満額で月約6万5000円)しか入れない。それでも、さすがに与党も議員独自の制度復活は無理と考えたようで、ひねり出したのは、自治体職員らが入る厚生年金に地方議員も加入させる案だった。職員同様、議員も自治体に雇われているとみなす。

地方議員のなり手不足が深刻なのは間違いない。16年の平均月額報酬は市議が41万円、町村議は21万円。15年の統一地方選町村議会選は21・8%が無投票当選だった。

ただし、与党が地方議員の人材確保に躍起なのは、系列の地方議員に自らの集票を担当させている国会議員が多いという裏事情もある。地方議員のなり手がいないというなら、会社員との兼務をしやすい仕組み作りなど、先にやるべき対策はある。国民年金だけで生活できないというなら、上乗せの国民年金基金などに加入すればいい。

地方議員を厚生年金に加入させると、保険料を折半する自治体の税負担が約200億円に上るとの試算もある。廃止で新規加入はできなくなったとはいえ、加入歴のある元地方議員ら約4万4000人には、月平均8万円程度の上乗せ支給が続いている。先進国で地方議員の年金を制度化しているところはほぼないといい、行革を看板にする日本維新の会の松井一郎代表(大阪府知事)は「政治家の優遇でしかない」と批判している。共産党も復活には慎重だ。

【「人材確保はまやかし」】

「四十数人だか、国会議員OBで生活保護を受けている方がいる。ホームレスになった人もいる」

昨年11月14日の自民党総務会。竹下亘総務会長は地方議員年金の復活を語るなかで、国会議員を辞めた人の老後の苦境に触れた。政官界にこの発言が伝わるや「地方議員の次は、国会議員年金の復活か」との臆測を呼んだ。

国会議員年金は10年加入すればよく、老後には月33万円以上給付されていた。厚遇に批判が高まり、06年に廃止されたものの、17年度もOBや遺族757人に、1人あたり月約23万円が支給されている。財源はほぼ全額税金だ。

公的年金は、年金額の伸びを物価より抑える減額の仕組みが強化されるなど、近年は抑制策が相次ぐ。1月30日の衆院予算委員会で、日本維新の会の馬場伸幸幹事長は「議員年金復活で人材確保というのはまやかし」と断じたうえで、「1400万人の国民年金で細々と生活をしている受給者のための改革を後にして、先に数万人の地方議員年金の設計を熱心にすることに本当に理解が得られるのか」と質した。

これに対し、安倍晋三首相は「地方議員の身分の根幹にかかわること。国民の皆様、議員の声をよく聞きながら、各党各会派において検討がなされる必要がある」とかわすことに終始した。馬場氏が「まさか国会議員の年金も復活させることはないでしょうね」と畳みかけても、ほぼ同じ発言を繰り返すだけだった。

(吉田啓志・『毎日新聞』編集委員、2018年2月9日号)

日米地位協定改定で国会論戦は野党連携が活発化 首相は“占領国”状態に無自覚

地位協定への立場が異なる自公推薦の渡具知氏(左)と公明党の金城氏。4日。(撮影/横田一)

稲嶺進前名護市長は敗退したが、年末年始に沖縄で頻発しているヘリ事故で、日米地位協定改定を求める動きが活発化している。渡具知武豊新市長を推薦した公明党金城勉県本部代表は当確直後、「海兵隊の県外国外移転と日米地位協定改定を求める立場は維持」と辺野古新基地反対不変を強調。沖縄県議会は1日の臨時会でヘリ事故に対する抗議決議と意見書を採択し、普天間基地の即時運用停止や学校や住宅などの上空での飛行禁止を求めると同時に、事故の再発防止に不可欠な「日米地位協定」の抜本的改定も要求したのだ。

こうした動きに野党は呼応。前日の1月31日には立憲民主党の枝野幸男代表が初の記者会見で日米地位協定改定に関してこう述べた。

「米軍には相次ぐヘリの事故へのしっかりとした対応、中長期的には日米地位協定の改定をより強く求めるべきだ。」

枝野氏は通常国会の代表質問でも、次のように問い質していた。

「米国の不適切な運用などに対し私たちは日米地位協定の改定を含め、ヘリの飛行中止などを、さらに強く米国に求めること、特に辺野古の基地建設についてはいったん立ち止まって沖縄の皆さんの理解を得る方策を模索することを求めます」

野党第二党の玉木雄一郎希望の党代表も枝野氏と足並みを揃えた。

「(米国に)再発防止を申入れるだけでは事態は解決しません。憲法9条改正の前に(米軍ヘリの事故の)日本の調査や捜査を制限している『日米地位協定』を優先して見直すのが先決ではないか」

すると、参院での代表質問にも飛び火。共産党の小池晃書記局長も代表質問で次のように迫った。

「ヘリの不時着事故でも県の飛行訓練中止要求に耳を貸さず、訓練を再開した。米軍の横暴の根底にあるのが『日米地位協定』で、抜本的改定が必要だ」

しかし安倍首相からは、腰の引けた答弁しか返ってこなかった。「地域住民の安全確保は大前提だ。最優先の課題として日米で協力して取り組む」と決意表明をしたものの、諸悪の根源である日米地位協定の改定については「今後とも事案に応じた最も適切な取り組みを積み上げていく」という曖昧な消極的答弁に止まった。しかも、歴史的偉業を達成したかのような自画自賛もしたのだ。

「安倍政権の下で地位協定締結から半世紀を経て初めて二つの補足協定の策定が実現した」

それほど誇るべき補足協定の策定なら、米軍ヘリ事故が頻発するはずもない。いまだに日本が米軍の危険な訓練を規制(低空飛行禁止など)をする権限を持っていない“占領国”状態にあるのに無自覚としか言いようがないのだ。

【対等な日米関係を訴える】

安倍政権の対米従属ぶりについて、名護市長選告示日前日(1月27日)の野党合同街宣に駆けつけた小沢一郎自由党共同代表は、対等な日米関係の構築を訴えた。

「沖縄県民の中にも『米軍やアメリカ政府が勝手なことを続けていても何も政府は言えないのか』という怒りが積もり積もっている。日米の対等な関係を作り上げることで初めて基地問題も、ヘリ事故問題も解決することができる」

立憲民主党の川内博史衆院議員も同日の囲み取材でこう強調した。

「米国に言うべきことを言わないといけない。日本政府が地位協定改定について『話し合いたい』と言えば、拒否できないはずだ。(改定をしたドイツやイタリアで可能な)米軍機の訓練規制を外務省や防衛省や官邸や政治家が言わないといけない。米国に物を言わない精神性こそが『日米関係は対等でない』ことにつながる」

ヘリ事故根絶に不可欠な「日米地位協定」改定に安倍首相は及び腰。「対米追随の安倍政権対オール沖縄・野党・公明」という構図は強まるばかりだが、名護市長選で自公推薦の渡具知氏は“二枚舌状態”。当選翌5日の会見で、米軍機の住宅地上空の飛行禁止への意欲は口にしたが、日米地位協定改定について聞いても無言のままだったからだ。

(横田一・ジャーナリスト、2018年2月9日号)

〈追悼〉朝日阪神支局襲撃事件の犬飼元記者

朝日新聞社阪神支局の資料室に展示されている犬飼さんのボールペン(中央)。被弾痕が生々しい。(写真/粟野仁雄)

戦後最悪、かつ未解決の言論テロ事件で、最も重要な生き証人が亡くなった。31年前の「憲法記念日」に起きた朝日新聞社襲撃で重傷を負った元記者の犬飼兵衛さんが1月16日、香川県の病院で亡くなった。享年73。1987年5月3日夜、同社阪神支局(兵庫県西宮市)に目出し帽の男が侵入、犬飼さんと、一緒にいた小尻知博記者(当時29歳)にいきなり散弾銃を発砲した。小尻記者は翌日死亡。犬飼さんはポケットの金属製ボールペンが奇跡的に心臓を守ったが右手の2本の指を失うなど重傷を負った。

復帰後は兵庫県や長野県の支局長などを務め2007年に定年退職し、長野県で暮らしていた。02年に時効となった際の会見では「この15年、いたずらに時間が過ぎた。言葉にすれば悔しさしかない」などと話していた。

静岡支局爆破未遂、名古屋本社寮襲撃など朝日新聞社に対し「赤報隊」が犯行声明を出した一連の警察庁広域重要指定116号事件は03年にすべて時効となった。

阪神支局で事件に遭遇した高山顕治記者(56歳)は会見し「事件当時を知る先輩が次々亡くなり寂しい。ショックです。(犬飼氏は)手術を終えて病院で目を覚ました時、医師に『またペンを握れますか』と言ったほど、記者魂を持った人だった」と振り返った。謹んで哀悼の意を表します。

(粟野仁雄・ジャーナリスト、2018年2月2日号)

袴田事件、高裁へ最終意見書 弁護団「ただちに再審を」

東京高裁へ向かう袴田巌さんの姉の秀子さん(右)と弁護団。(撮影/小石勝朗)

1966年の「袴田事件」で死刑が確定した元プロボクサー袴田巖さん(81歳)の再審請求審で、弁護団と検察が1月19日、東京高裁(大島隆明裁判長)へそれぞれ最終意見書を提出した。弁護団はただちに再審公判への道を拓くよう訴え、検察は再審開始決定を速やかに取り消すよう求めている(本誌1月26日号参照)。

弁護団の意見書はA4判150ページ。本田克也・筑波大学教授(法医学)のDNA鑑定手法をめぐる、鈴木廣一・大阪医科大学教授(同)の検証実験が「裁判所の指示に反し、本田鑑定の方法とは機材も用具も異なっていた」と非難。それでもDNA型は検出されており、「本田鑑定の有効性が裏付けられた」と主張した。

犯行着衣とされた「5点の衣類」については、1年2カ月間も味噌に漬かっていたにしては血痕の赤みが強く、「発見から遠くない時期に味噌に漬けられたとしか考えられない」と警察の捏造に言及。検察が独自に実施した長期間の味噌漬け実験でも血痕は黒色に変化したとして、補強材料にした。

また、新たに開示された捜査段階の取り調べ録音テープから「確たる証拠もないのに自白を強要していたことが分かる」と指摘した。

一方、検察の意見書(145ページ)は、5点の衣類の「捏造疑惑」への反論に全体の3分の1を充てた。5点の衣類の発見当時、公判での検察の立証は順調で「新たな証拠の捏造を必要とする状況にはなかった」と強調。ズボンが小さいサイズで袴田さんがはけなかったことを取り上げ、「警察がその点に無配慮のまま捏造を行なうとは考え難い」とも主張した。

本田氏の鑑定手法に対し「血液のDNAだけを抽出する効果があるとは認められない」と重ねて批判。5点の衣類の血痕については「カラー写真が発見当時の色を正確に反映していない」と釈明した。

高裁は今年度中にも再審開始の可否を判断する見通しだ。

(小石勝朗・ジャーナリスト、2018年2月2日号)

市民と国会議員で院内集会、国政私物化、責任追及を 「安倍昭恵氏らの証人喚問を」

「責任の徹底追及を」と呼びかける「森友学園問題を考える会」の木村真さん。(撮影/片岡伸行)

「あんな答弁で済むなら国会は要らない。安倍昭恵氏らの証人喚問を実施し責任追及を」。国会論戦が本格化する前の1月26日、東京・永田町の衆議院第二議員会館内で開かれた「もはや“詰み”だ! 森友問題責任の徹底追及を求める院内集会」は市民ら200人余と野党国会議員の熱気で包まれた。

主催した「森友学園問題を考える会」の木村真豊中市議は「国有地をタダ同然で売ったことはもはや明白。これ以上何を立証せよというのか。証人喚問をし、しかるべき人物に責任を取らせる。その弾みをつける集会にしたい」とあいさつ。「森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会」の醍醐聰東京大学名誉教授は「ゴミ撤去費用を理由とした値引きは法的に許されず、背任は明白」とした上で「大阪地検特捜部は直ちに近畿財務局の強制捜査に入り、国有地の管理者である麻生太郎財務大臣は辞任すべき。安倍晋三首相も妻が名誉校長を務め、官僚らに忖度させた責任と国政混乱の責任を取って即刻辞任せよ」と訴えた。

次いで社民党、自由党、立憲民主党、希望の党、日本共産党の各国会議員計17人が次々とマイクを握り、「ウソとごまかしを続け、民主主義と法治国家を破壊する安倍政権に対し、野党の総力を挙げて早期退陣をめざし徹底追及をする」などと力を込めた。「健全な法治国家のために声をあげる市民の会」の八木啓代代表、「今治加計獣医学部問題を考える会」の黒川敦彦共同代表らも「市民一人ひとりが声を上げ、メディアの追及を後押ししてさらなる追及を」と強調した。最後に山本一徳豊中市議は「安倍昭恵氏の証人喚問が必要。国政私物化疑惑は終わっていない。これからが責任追及の闘いだ」と結んだ。

市民の一人は「疑惑を追及している団体が一堂に会した画期的な集会になった。われわれは決してあきらめない」と話していた。

(片岡伸行・編集部、2018年2月2日号)

在沖海兵隊移転先のグアム住民が来日し被害訴え グアムも沖縄も基地はいらない

会見するグアムの住民の女性。左端がフローレスさん。1月26日。(撮影/斉藤円華)

沖縄の在日米海兵隊のうち約4000人が米領グアム島に移転する計画がある。そうした中、グアムの住民の女性3人が1月26日に東京都内で会見し、すでに駐留する米軍の基地被害が海兵隊の移転で拡大する懸念を訴えた。

来日したのはモネッカ・フローレスさん、ステイシア・ヨシダさん、レベッカ・ガリソンさん。フローレスさんとヨシダさんはグアム先住民であるチャモロにルーツを持つ。

沖縄・高江の「ヘリパッドいらない住民の会」、グアム島の女性グループなど9団体は昨年10月、「沖縄とグアムでの米軍基地拡大に反対する共同声明」を発表。今回の来日で同日、外務省と防衛省に声明を提出した。

会見でフローレスさんは、「島北部のチャモロ人居住地に実弾射撃訓練場の建設計画が持ち上がっている。年間600万発を使用するとされ、同地域やその周辺には絶滅危惧種も生息。さらに貴重な水源や、祖先が眠る墓地もある。小さな島で基地の拡張計画が進もうとしている点で、グアム島と沖縄は似通っている」と訴えた。

島の面積の約3分の1を米軍用地が占め、戦略爆撃機が出撃するアンダーセン空軍基地、原子力潜水艦の拠点港などがある。しかし米軍の基地被害は日本ではほとんど知られていない。

フローレスさんは「米国準州のグアムの住民は、米本土市民と同等の権利が保障されていない。長期にわたり米国の植民地として扱われ、基地拡大に反対する運動にも困難がともなう」と指摘。

その上で、「基地に対する運動は世代を越えて続いている。土地返還を求めているが、基地の汚染も深刻だ。最近は基地があることで核戦争のリスクにもさらされ、世界的な注目を集めた。こうした状況は、大国に挟まれたグアムの状況をよく示している」と語った。

(斉藤円華・編集部、2018年2月2日号)

立憲民主党と市民が大対話集会を開催 国民の政治を取り戻せるのか

市民の質問に答える中央の枝野幸男代表。向かって右側順に池田真紀、有田芳生、山川ゆりこ、阿久津幸彦、左側順に大河原まさこ、堀越けいにんの各議員。(撮影/薄井崇友)

「立憲民主党をつくったのは枝野幸男ではありません。あなたです。草の根から前に進む、新しい民主主義を一緒に目指しませんか」。昨年の総選挙での枝野幸男立憲民主党代表の演説は記憶に鮮やかだ。

この理念の実現にはフラットな対話の積み重ねが大切だと、400人超の市民と16人の立憲民主党(以下、立民)の国会議員が、1月28日、東京都文京区民センターで一堂に会し「市民と立憲民主党との大対話集会」を開催した。

主催は「市民と立憲民主党との対話集会実行委員会」で、呼びかけ人と賛同人は合わせて150人(1月27日現在)を超えている。

会の進行は、市民が事前に意見や質問をファクスや電子メールで実行委員会に送り、当日参加した質問者がマイクの前で詳細な質問をし、第1部は枝野幸男代表が第2部は各議員が回答をした。

18時、司会の開会挨拶に続き、呼びかけ人で元国立市長の上原公子さんが「今までの政治は市民不在だったのではないか? そこに立民ができた。新しい風・真の民主政治になるように今日の討論会を設定した。真の国民の政治を取り戻すチャンスを得たと感じている。さあ出発という会にしたい」と話し会場が拍手に沸いた。

第1部のテーマは「市民と立民のつながりをどのようにつくっていくのか」で23の質問があった。

パートナーズ制度など市民との連携についての問いに枝野幸男代表は「草の根の暮らしの声と結びついた政治を取り戻したい。これまでは政党が市民をどう巻き込むかだった。私たちの発想は逆で、国民の皆さんが政治参加をするのに、如何に使い勝手のいい道具に立民がなるかです。あくまでも主体は皆さん、私たちは道具。どういう使い勝手にしたらいいのか?という発想でパートナーズ制度を考えた。それは皆さんの側が集会を設定し議員を呼んで現場の声を聞かせていただく、この集会こそがパートナーズ制度です。春にはインターネットでパートナーズの登録を始めたい」と話した。

第2部は「主要な政策をめぐって」と題し39の質問があり「憲法9条改定への姿勢」や「若者の貧困問題」「社会保障と税制」などが問われ各々の議員が回答。21時、実行委員で東京都練馬区議の池尻成二さんが閉会挨拶。

閉会後に池尻さんは「対話を始める場と空気をつくることができいい議論だった。今後の課題を実行委員会で吟味し、更に前に進めたい」と述べた。

参加者からは「市民の声を届ける道具になるというのが心に響いた」(埼玉県所沢市、60代男性)や「市民と政党にいい緊張関係があった。市民の手で政策がつくれる手応えを感じた」(千葉県船橋市、女性)などの声が聞かれた。

(薄井崇友・フォトグラファー、2018年2月2日号)

阪神・淡路大震災の石綿が死因 労災認定求め遺族が提訴

島谷和則さんの遺影を掲げる弁護団。1月15日、神戸市。(撮影/粟野仁雄)

阪神・淡路大震災(1995年)のがれき撤去作業などでアスベスト(石綿)を吸い、中皮腫で死亡した元明石市職員の島谷和則さん(死亡時49歳)の妻Aさん(54歳)が1月15日、公務災害と認めなかった地方公務員災害補償基金兵庫県支部に対し、認定を求めて神戸地裁に提訴した。同震災の復旧作業に従事した公務員の石綿疾患による死亡をめぐり、公務災害の認定を求める提訴は初めて。

震災当時、市の環境事業所に勤務していた島谷さんは、石綿粉塵が大量に舞う現場で建築廃材やごみなどを処理していたが、震災17年後の2012年に悪性腹膜中皮腫になり翌年10月に死去した。

Aさんは「石綿の吸引は公務としての作業以外に考えられない」と同基金兵庫県支部に公務災害認定を求めたが、14年3月、「高濃度の石綿が含まれた粉塵を吸引したと認められない」などの理由で「公務外」とされた。Aさんは同支部審査会に審査請求したが「一般的な発症事例に比べて潜伏期間が短く、がれき作業との因果関係は認められない」と棄却された。

今回、訴状では「アスベストにさらされる作業の従事期間は、震災対応の時期以外も含めて1年以上あり認定基準を満たす」とする。

提訴後に会見したAさんは、「中皮腫とわかった時には余命2カ月半と言われた。夫の無念を同僚の皆さんたちと一緒に晴らしてこれからにつなげたい」と話す。

腹膜中皮腫は胸膜中皮腫より潜伏期は長いが一般的に十数年から30年超とされる。Aさんの代理人の位田浩弁護士は「潜伏期が少し短いことを持ち出しているが、救済しないための理由を探しているだけ」と同基金を批判する。

ひょうご労働安全衛生センター(神戸市)によると、石綿による中皮腫をめぐり一般的な労災保険は約95%が認定されたが、同基金の認定率は四十数%。震災から23年、命を賭して働いた公務員の存在を忘れてはならない。

(粟野仁雄・ジャーナリスト、2018年1月26日号)