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平和憲法を女性たちの音楽から見直すのは政治的? 杉並区「憲法」文言の削除要請

東京都杉並区が、男女共同参画都市宣言20周年記念事業で、企画を委託した小林緑国立音楽大学名誉教授の署名入り原稿から「平和憲法」の文言を削除するよう要求していたことが分かった。

イベントは昨年11月23日、杉並区内で開かれた。元五輪選手らの講演と小林さんが企画したピアノコンサートの2本立て。小林さんは「クラシックの世界が作曲家も演奏家も男性中心だ」として、才能があるのに無視されてきた女性作曲家を紹介し続けている。当日は、エイミー・ビーチ(米国)ら5人の8作品を解説し、同区在住のエミィ トドロキ・シュワルツさんら女性4人が演奏した。

削除されたのは、プログラム用に小林さんが寄せた「なぜ彼女たち? なぜこのような音楽を?」の「平和憲法さえも危機にある世界の現状を、こうした女性たちの音楽から見直すためにも、」の部分。小林さんによると、区の担当者から「政治的だ。記録に残るから」と電話で言われた。抗議したが、印刷前日だったこともあり不本意ながら次のように直した。

「こうした女性たちの肩肘張らぬ音楽に耳を傾け、世界が平和に、男女が等しく、自然体で命を紡ぎ続けられるよう」

小林さんは「音楽は平和でなければできない。憲法の男女平等を提案した一人はGHQの女性で、父親はピアニストだった」と平和憲法に触れた背景を説く。小林さんを区に推薦した杉並女性団体連絡会も12月13日、区に抗議したが、物別れに終わった。区の男女共同参画担当課長は「政治的だからでも検閲でもない。これは男女共同参画事業なのだと分かりやすく伝えたかっただけ」と言う。

しかし、区はプログラム一つとっても、表紙にあいさつなどで区長、区議会議長から区民生活部長まで氏名を載せる一方、小林さんや演奏者の氏名は中面に回した。「裏方の区が前面で出演者を後回しとは」との声も区内にはある。

(徃住嘉文・報道人、2018年1月12日号)