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強制わいせつ罪の判例 最高裁が半世紀ぶり変更

園田寿甲南大学教授。11月29日、最高裁前で。(撮影/粟野仁雄)

刑法176条の強制わいせつ罪(懲役6カ月以上10年以下の有期刑)は、性欲を満たす意図がない時には適用されないのが最高裁判例だったため、悪質な犯罪も刑の軽い暴行罪や迷惑防止条例違反などにとどまることもあった。

2015年、13歳未満の少女の体に触り裸を撮影した、として強制わいせつ罪と児童買春・ポルノ禁止法違反罪に問われていた40歳の男性被告の上告審で最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は11月29日、「性的意図がなくても成立する」として上告を退け、懲役3年6月を確定させた。これまで、同罪での適用判例は1970年に最高裁が、報復目的で成人女子の裸体を撮影した被告について「犯人の性欲を興奮させたりする意図が必要」として破棄、差し戻した判決。実に47年ぶりの判例変更となる。

寺田裁判長は「被害者の受けた性的な被害の有無やその内容、程度にこそ目を向けるべき」「70年判例の解釈は維持しがたい」としたが「性的意図を一律に要件とするのは相当でない」とも言及した。

弁護人の奥村徹弁護士は「これまでの判例なら(今回のケースは強制わいせつ罪としては)無罪なのに実刑になった。この件に関しては有罪、というのは承服しがたい」と会見した。

弁護団の一人、園田寿甲南大学法科大学院教授は「判決は、すべて性的意図が要らないとしているわけではない」とし、「行為そのものが持つ性的性質が明確な時と不明確な時に分けており、弁護側の主張も一部受け入れられた」と評価した。同教授は「男が女性に街中で精液を振りかけるような犯罪も器物損壊などにしかならなかったが今後は強制わいせつ罪も可能になる。いじめで男の子を裸にすることなどにも適用できる」と話す。「意図」の証明は困難とはいえ、強制わいせつ罪の定義が変更された意義は大きい。

(粟野仁雄・ジャーナリスト、12月15日号)