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森友・加計学園問題、国民訴訟制度を創設せよ(宇都宮健児)

大阪府豊中市の国有地が、ごみ撤去費用として約8億円を差し引いて学校法人森友学園に売却された問題で、会計検査院は11月22日、国が見積もったごみの処分量が過大であり「値引き額の根拠が不十分で、土地売却額算定の際の慎重な検討を欠いていた」とする検査結果報告を参議院議長に提出し公表した。

ごみの量は、国有地処分を担当する財務省の近畿財務局からの依頼で、土地を所有する国土交通省大阪航空局が試算したのであるが、財務省の佐川宣寿前理財局長(現国税庁長官)は国会答弁で、森友学園への国有地売却は適正な価格であったと繰り返してきた。

森友学園を巡っては、安倍晋三首相の妻の昭恵氏が小学校の名誉校長に就いていたことから、行政側が忖度して値引きにつながったのではないかとの疑いが浮上し、国会では野党から昭恵氏の証人喚問の要求がなされたが、安倍首相は、昭恵氏の関与を否定し、与党も昭恵氏の証人喚問を拒否し続けてきている。

森友学園の問題に関しては、市民団体が、背任容疑や公用文書等毀棄容疑、証拠隠滅容疑などで、佐川宣寿前理財局長や美並義人近畿財務局長などを東京地検に刑事告発しており、今後の捜査の行方をしっかりと監視していく必要がある。

ところで、地方自治法においては、普通地方公共団体の住民が、その財務行為の違法性をチェックし、損害を回復するために、違法な財務行為の差止め、損害賠償、不当利得返還などを求める「住民訴訟」が認められている。

ところが、普通地方公共団体以上に多額の税金が支出されている国については、違法な財務行為が明らかになっても、国民がこれを正す訴訟は認められておらず、そのため違法な財務行為が発覚しても、国の損害は放置される事態となっている。このような事態は、普通地方公共団体と比べて明らかに正義に反する。

国における財務行為の適法性の確保は国民にとってきわめて重要であり、法治主義・財政民主主義の観点や司法による行政の適法性確保の必要性の観点から、国レベルの住民訴訟制度の創設が求められている。

日本弁護士連合会や全国市民オンブズマン連絡会議は、このような観点から国民訴訟制度すなわち公金検査請求訴訟制度の創設を提案している。

具体的には、国民は、会計検査院に対し、国の財務行為について、これを特定し、その違法性、損害を指摘して検査を行なうように求めることができるものとし、会計検査院は、検査を行なった結果、違法な財務行為があると判断した場合には、関係者に対し、損害回復等の必要な措置を勧告するものとする。国民からの検査請求に対して、会計検査院が勧告措置をとらない場合、あるいはその勧告措置が十分なものではないとして納得できない場合には、国などを被告として必要な措置をとるよう請求する訴訟を提起することができる制度である。

森友・加計学園疑惑が大きな社会問題になっている今こそ、政府、国会は、国民訴訟制度の創設に着手すべきである。

(うつのみや けんじ・弁護士、12月8日号)