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ブラック企業大賞2017で9社がノミネート ゼリア新薬は「ブラック研修」

2017年12月20日2:00PM

「ブラック企業大賞2017」ノミネート会見での佐々木亮氏(左)と、河添誠氏。(撮影/斉藤円華)

「ブラック企業大賞2017」(同実行委主催)のノミネート企業9社が11月27日に発表された。この内、ゼリア新薬工業(東京都中央区)では2013年5月、当時22歳の男性新入社員が研修中に自殺。研修で男性は、かつて吃音だったことやいじめを受けたことを大勢の同期の前で告白させられるなどした結果、強い心理的負荷により精神疾患を発症した。

中央労働基準監督署は15年5月、この男性の自殺を労災と認定。遺族は今年8月、ゼリア新薬と、同社から新人研修を一部委託された人材コンサルタント企業のビジネスグランドワークス(BGW、東京都中央区)らを相手取り、約1億500万円の損害賠償請求を東京地裁に起こしている。

厚生労働省(東京都千代田区)で27日に行なわれた実行委の会見で、佐々木亮弁護士は、ゼリア新薬のノミネート理由を「近年『ブラック研修』が注目される中、(自殺という)最悪の結果を招いたため」と説明。佐々木氏は「研修中はいじめやハラスメントの認定が難しく、これは労災が認められた珍しいケースだ」と語った。

今回のノミネートに、ゼリア新薬は「係争中につき答えられない」、BGWは「係争中であり裁判で主張をしたい」。遺族側代理人の玉木一成弁護士は「今回は(ブラック研修の)氷山の一角。精神疾患やトラウマ(心的外傷)を負っている人は多い」と述べた。

このほか、いなげや(14年6月に同社で二度目となる従業員の過労死が発生)、パナソニック(社員の自殺が今年2月に過労自殺と認定)、新潟市民病院(長時間労働により医師が過労自殺)、NHK(13年7月に女性記者が過労死)などがノミネート。会見で、実行委の河添誠氏は「(過労死や過労自殺は)遺族が公表して初めて明るみに出る。企業は名指しされない限り、人を殺し続けているのが現状だ」と語った。

(斉藤円華・編集部、12月8日号)

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