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小池氏、自らの発言で希望の党失速にも責任をとらず 「排除」引き出した記者を排除

2017年11月13日11:02AM

小池百合子・希望の党代表の囲み取材。筆者の質問は無視(「排除」)された。10月25日。(撮影/横田一)

民進党の前原誠司代表は10月27日の両院議員総会で、党全体が希望の党へ合流するとの方針を撤回して、代表辞任を表明。民進党に残っていた参議院議員や地方組織はそのまま存続することになり、11月1日から始まる特別国会前までに新代表を選ぶ見通しとなった。

投開票日直後の会見で前原氏は、参院議員や地方組織の方向性を決めた上で辞任する考えを明らかにしていたが、党内の参院議員は「希望合流を決めて辞められても困る。そもそも前原代表に残務処理をする資格はなく、すぐに辞任して、残ったメンバーが今後の方針を決める」と反発。解任決議を出す構えも見せていたため、前原氏が自発的に辞任する形となった。

なお前原氏は代表辞任をした後に、民進党を離党して希望の党に入る意向をすでに表明している。

一方、野党乱立を招いて安倍政権をアシストしたもう一人の“A級戦犯”の小池百合子都知事(希望代表)は25日朝にフランスから帰国、午後から両院議員懇談会に出席した。3時間以上にも及んだ懇談会の冒頭で小池氏は、「多くの方々を傷つけてしまったことについても、改めて謝りたい」「言葉が歩いてしまった結果だ」と謝罪した。それでも複数の国会議員から代表辞任を求める
声が出た。

しかし、これに対して小池氏は創業者責任を口にしながら代表辞任を否定した。自らの「排除」発言で希望は失速、落選議員を多数出したのにもかかわら
ず、結果責任を取ろうとしなかったのだ。

23日のキャロライン・ケネディ前駐日米大使とパリでの対談でも、小池氏の責任転嫁の姿勢が浮彫りになった。小池氏は「都議選もパーフェクトな戦いをしてガラスの天井を破ったかなと思ったが、今回の総選挙で鉄の天井があると改めて知りました」と語り、希望惨敗の原因が自らの失言ではなく、日本の特殊事情であるかのような言い逃れをしたのだ。

その一方で、「(小池代表)関係者」「周辺」と名乗る側近を使って“悲劇のヒロイン仕立て作戦”と呼ぶべき世論工作も始めたようだ。「〈誤算の行方〉(上)振付師なく『敵役』に 小池氏 過信が生んだ排除発言」と銘打った10月25日付『東京新聞』は、9月29日の会見で口にした「排除」発言について「関係者によると、小池氏は食事がのどを通らないほど、この発言を悔いていた」と紹介しているが、作り話にしか見えない。本当に後悔していたのなら、すぐに「排除」発言を撤回、「前原代表が説明した通り、公認申請者は全員受け入れます」と方針変更をしていれば、希望は勢いを維持、野党乱立を招くこともなく非自民勢力が結集、安倍自民党を大幅議席減に追い込むことが可能だった。

【「次の質問をどうぞ」】

そこで25日の両院議員懇談会後の囲み取材で、「結果責任を取らない理由は何ですか。『排除』発言をすぐに撤回していれば、こんな事態を招かなかったのではないですか。前原さんにウソをついたことになる」と聞いたが、小池氏は答えず、「次の質問をどうぞ」と言って別の記者を指名した(編集部注:小池氏から「排除」発言を引き出したのは本稿筆者)。政治家に続き記者も「排除」したのだ。

連合の神津里季生会長と小池氏が会談した翌26日の囲み取材でも、露骨な記者排除(選別)を繰り返した。「多くの候補者が連合の支援を受けて戦った。支援に感謝したい」「政策を含めて協力関係を持っていく。地方選があり、協力をお願いした」と会談内容を小池氏が説明した後、私は再び「排除」発言について質問したのだが、ここでも一言も発することなく、早々に会見を打ち切ったのだ。

「排除」発言について、「政策の門、公認の門をいたずらに狭めたという感が強くある。罪はきわめて大きい」(23日の会見)と小池氏を批判していた神津氏にどう釈明や謝罪をしたのかについて小池氏は、一切説明しようとしなかったのだ。説明責任も果たさず、結果責任も取ろうとしない独善的な小池氏に対して、「代表不適格」「辞任すべき」といった批判が強まるのは確実だろう。

(横田一・ジャーナリスト、11月3日号)

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