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「反貧困ネットワーク」が10周年記念全国集会を開催 「真の希望」ある社会目指して

2017年11月6日11:49AM

横断幕やカードを掲げ「さらば貧困」のコールが響く。中央に宇都宮健児さん(反貧困ネットワーク代表世話人・本誌編集委員)。(撮影/薄井崇友)

総選挙投開票日前日の10月21日、東京・港区の田町交通ビル6階ホールで、反貧困全国集会2017「反貧困ネットワーク10周年記念全国集会」(反貧困全国集会2017実行委員会主催)が開催。全国から貧困の解決をめざす人たちが参集した。

午前10時半、開会の挨拶に続き、全国の反貧困ネットワーク(反‐貧困)から15人の地区代表者が直面する問題と成果を報告。生活困窮者に対する税金の取り立てや生活保護の問題が多く挙げられた。「反‐貧困ぐんま」の小倉光男さんは「地方自治体の台所事情の影響が大きい」と言い、大手企業を持つ場合と持たない場合を例に挙げた。財政状況が悪い自治体ほど生活困窮者から搾取している様子が窺われ、安倍政権の地方創生の失敗が浮き彫りになった。

また、「反‐貧困ふくしま」の二瓶由美子さんは、原発事故で「避難できない理由に貧困がある」と被曝と貧困の実情を伝えた。

午後の部は、宇都宮健児さん(反‐貧困代表世話人・本誌編集委員)が、DVDを上映し10年間の歩みを解説。リーマンショックでの派遣切り、2008年の年越し派遣村、継続開催された大集会の様子などを伝えるなか、反‐貧困設立当時の宇都宮さんが映り「若い~」と会場が沸く場面も。成果として「貧困の可視化」が報告され、問題の解決には政治の力が不可欠、「明日の選挙では、これが可能な政権を!」と括った。

続く海外報告では、韓国からカン・ネヨン(ソウル市非電化工房代表)、キ・ヒョンジュ(ソウル市青年活動支援センター長)両氏が順に登壇。青年の経済困窮者に、50万ウォン(約5万円)を最大6回支給し改善したソウル市の事例などを報告。

藤井淳史さん(立教大学教授)は、国の補助金が激減し地方の行政サービスが後退し、フードバンクなどに頼る人が激増するイギリスの様子を紹介。異なる共同組合が連帯する「社会的連帯経済」の必要性を説いた。

最後の反貧困リレートークで11人が登壇。過労死や女性の非正規など、深刻な問題をさまざまな立場から経験談を通し訴えた。

午後4時半、集会宣言に続き再び全員が登壇し、横断幕やカードを掲げ閉会へ、「さらば貧困」の大コールがなり響いた。

参加者からは、この10年で貧困が「ハッキリした」と同時に「貧困が固定化しミドル層も崩壊しはじめている」と危機感が聞かれた。そして、貧困を解決し真の希望を目指すには「それが可能な政権を選ぶことが不可欠なんだ」と。宇都宮健児さんが、壇上を指して言った「ここの人たちが政治家になり、社会を変えられる仕組みにしないと」の言葉が重く残った。

(薄井崇友・フォトグラファー、10月27日号)

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