週刊金曜日公式ブログ 週刊金曜日ニュース

安倍首相代表の政治団体、地元神社などに120万円以上の支出

安倍首相が代表する自民党支部が神社に「福引券」(玉替券)30枚の代金を支払ったことを示す領収書(受納証)。(撮影/三宅勝久)

安倍晋三首相(現在衆議院議員候補)が代表を務める政治団体「自民党山口県第4選挙区支部」(下関市)が、下関市内の神社や寺に多数回の支出をしていることが、情報公開請求による「少額領収書」(1万円以下)の調査でわかった。

2010年から15年の6年間で約320回。金額は1回あたり3000円から1万円で、合計すると120万円以上になる。費目は「渉外費」とある。支
出回数の多い宗教法人(後援団体を含む)は、亀山八幡宮(39回)、大歳神社(31回)、住吉神社(28回)。

奇妙なことに、約320件の7割を占める230件が、領収書の様式がまったく同じだ。受取人の「自由民主党山口県第四選挙区支部様」が印刷ずみで、但し書きも「会費として」のゴム印が押されている。支部であらかじめ用意し
た「自作領収書」の疑いが濃厚だ。「会費」の実態はわからない。

「自作」ではないほかの領収書をみると、但し書きにこうある。「玉串料」「直会会費」「御田植祭会費」「秋祭会費」「玉替券30枚」――。

神事に関連した協賛金の類だと明記している。「玉替券」とは、いわゆる福引券のことだ。「現金2000円」といった“豪華”賞品を用意している神社もある。それにしても玉替券をなんのために買ったのだろう。支援者に配ったということはないのか。

一連の支出は、憲法が定める政教分離原則に反するばかりか、有権者への寄付を禁止した公職選挙法に違反する恐れもある。

法に触れる危険を冒してまでマメな神社通いを続ける「第4支部」だが、じつは効果のほどは定かではない。「秘書の人は時々来る。でも私は安倍さん嫌いです」。ある神社関係者はそっと漏らした。

取材に対して安倍事務所は「政治資金規正法にのっとって適正に処理している。個別の問題には答えていない」と説明にならない回答を行なった。

(三宅勝久・ジャーナリスト、10月20日号)

総選挙で沖縄の声は届いたか、米軍ヘリ墜落事故に怒りと抗議

「沖縄を犠牲にした平和はいらない」。緊急アピールをする市民団体代表者ら=10月12日、参議院議員会館内。(撮影/片岡伸行)

これでも「辺野古」を選挙の争点にしないのか――。米軍の大型輸送ヘリコプターCH53が沖縄県東村高江の民家から約300メートルの集落近くに墜落、炎上した翌日(10月12日)、首都圏の市民有志が東京・永田町の参議院議員会館内で緊急会見をした。夜には、「沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック」が防衛省に対し、今回の事故の「原因究明、責任の所在を明らかにすることを求める」とする抗議文を提出。他の市民団体も含め約100人が東京・市ヶ谷の防衛省前で抗議の声を上げた。

「国難」と称して森友・加計疑惑の追及から逃げるように衆院解散に打って出た安倍自民党にとって、大型輸送ヘリ墜落は選挙突入直後の想定外の事態だ。「この国を、守り抜く。」と謳う同党のキャッチフレーズはブーメランのように跳ね返り、「沖縄は守り抜かないのか」との批判を浴びている。

同日会見をしたのは、「沖縄への偏見をあおる放送を許さない市民有志」の川名真理さん、「沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック」共同代表の宮平真弥さん、「沖縄環境ネットワーク」世話人の花輪伸一さん、「ピースボート」共同代表の野平晋作さんら。辺野古新基地建設について「争点にしてくれる政党とそうでないところが二極化してきた」(川名さん)とし、辺野古基地に反対する有志12人の連名で、立憲民主党に「要望書」(10月11日付)を送付したことを報告。「立憲の旗の下に集まる、貴党をはじめとする野党共闘に救いを見いだし期待を寄せる」とし、選挙の争点にするよう訴えた。

今回の総選挙での各党の公約を見ると、辺野古新基地建設について明確に「反対」しているのは日本共産党と社民党で、立憲民主党は「再検証。ゼロベースでの見直し」を打ち出している。「推進」の立場をとるのは自民党と日本維新の会、それに希望の党だ。希望の党は「日米同盟を深化させる一方、基地負担軽減など地位協定の見直しを求める」などとしているが、要するに推進である。公明党は公約には言及せず、安倍政権と一体となり推進してきたにもかかわらず、?被りする小ずるさだ。

また、今回の選挙後の「改憲」が問題となっていることに対し、「沖縄では米軍基地があることで平和、自治、人権、環境が破壊され、日本の政府、政治はこれを容認してしまっている」(花輪さん)とし、すでに沖縄では差別的な日米地位協定を含み、憲法がなきに等しい状況にあることを指摘。「一ローカルの問題ではなく、7割の基地を押しつけている全国の問題だ」(野平さん)と訴えた。

【多発する沖縄の“国難”】

翁長雄志沖縄県知事が「沖縄にとって国難」と断腸の思いで述べた今回の大型輸送ヘリ墜落事故は昨年12月のオスプレイ墜落事故(名護市安部海岸)から1年も経たずに発生。このヘリは04年に沖縄国際大学に墜落したのと同系統の機種だ。また、オスプレイは今年6月、伊江島補助飛行場や奄美空港に緊急着陸し、8月5日にはオーストラリア東部沖合で墜落し乗員3人が死亡。沖縄県議会がオスプレイ配備撤回や海兵隊撤退を求める抗議決議(8月28日)した翌日には、またまた大分空港に緊急着陸した。防衛省はそのつど、お題目のように「再発防止に努める」などと空疎なコメントを出すが、事故や事件は一向に減らない。

昨年4月の元海兵隊員の米軍属の男による女性強かん、殺人、死体遺棄事件は記憶に新しいところだが、沖縄返還の1972年以降2011年末までに米軍航空機の関連事故は522件発生。米軍人・軍属とその家族による刑法犯罪の検挙は14年までの42年間で5862件、うち殺人・放火・強かんの凶悪事件の検挙者数は737人に上る(『沖縄タイムス』16年5月20日付)。政府は「日本を守るために米軍基地が必要」とするが、その米軍基地が沖縄の人の生命と暮らしを脅かしている現状だ。

衆院選は22日に投開票となるが、「辺野古」を争点にしない政党に民主主義や憲法を語る資格はないだろう。

(片岡伸行・編集部、10月20日号)

情けない安倍首相の“いいとこ取り”(鷲尾香一)

安倍晋三首相は9月28日、臨時国会の冒頭で衆議院を解散した。何のための解散なのか、森友・加計問題を追及されるのが嫌だったのか、解散の大義がどこにあるのかわからないままの解散となった。

安倍首相は解散の理由を、2019年10月に予定されている消費税率10%への引き上げによる増収分の使途を変更し、債務返済に回すはずだった約4兆円の中から、教育や子育て支援に2兆円規模を充てることについて、「国民の信を問う」とした。

しかし、消費税率の引き上げによる増収は社会保障4経費(年金、医療、介護、子育て支援)に“すべて充当する”ことが、2012年の3党合意(民主党、自民党、公明党)による「社会保障と税の一体改革」で定められている。

事実上、民主党が消滅した現在、3党合意を安倍首相が勝手に破棄するという信義問題は置いておくとして、今回の消費税率増収分の使途変更は、よく見るとお得意の“安倍マジック”であり、安倍首相一人勝ちの構図が透けて見える。

債務返済を先送りするということは、財政は痛まないように思えるが、事実上、赤字国債の発行が続くことを意味する。

また、詳細は明らかになっていないが、教育や子育て支援の2兆円支援がいつから始まるかだ。消費税率が10%に引き上げられるのは、2019年10月の予定であり、その増収分がフルに入ってくるのは、2020年分、つまり、2021年になってから。それ以前に教育や子育て支援の2兆円がスタートするのであれば、その財源は赤字国債に頼るということになる。つまり、財政悪化要因だ。

また、消費税率10%への引き上げは、教育や子育て支援対象者にも、増税という負担を強いることにもなる。そして、何よりも問題なのは、安倍首相は、華々しく政策を打ち出すだけで、将来に待ち構える難問は、安倍政権後のあとの政権が取り組むことになる。

国際公約となっている2020年のプライマリーバランス(PB)の黒字化は、先送りされる。安倍首相は「財政再建の旗は降ろさない」と強弁するが、教育や子育て支援を開始すれば、債務返済の財源は少ない。安倍首相の任期は最大2021年9月までだから、PBの黒字化達成は、安倍首相の後の首相が負うことになる。ちなみに、今回の総選挙の当選代議士は、衆議院の任期が4年なので、任期満了は2021年10月と安倍首相の任期に合致する。

2020年の東京五輪が終われば、少なからず五輪景気の反動から、景気が落ち込むことは予想できる。つまり、税収も期待できない。

結果、消費税率の再引き上げに踏み切ることになろう。消費税率が8%になったのは、2014年4月。10%になるのは2019年10月。その間、約5年半。しからば、次の消費税率引き上げは、単純に5年半後なら2025年4月ということになる。つまり、安倍首相の後の首相の仕事だ。

債務の返済、PBの黒字化、あるいは次の消費税率の引き上げは安倍首相以外が対処しなければならないのだ。国会での検討もなく、世間受けする、安倍首相の“いいとこ取り”の政策が、衆議院解散の理由とは、何とも情けない。

(わしお こういち・経済ジャーナリスト。10月13日号)

“シロアリ”百合子の本音とは(西川伸一)

「男社会の永田町……リセットできるのは、女性だけ!」の見出しにつられて、『女性自身』10月17・24日合併号を買ってしまった。小池百合子東京都知事が9月27日に自らを代表とする「希望の党」を結党した。その2日後に小池氏にインタビューした記事が載っている。

それによれば、男社会の永田町で女性議員が役職に就こうと思ったら、男性議員たちに優しく声かけし、会食では接待役を務めるのだという。「男性ばかりの執行部が人事を決めてしま」うから、彼らの心証をよくする必要があるのだ。「お酌して回っていなかったのは私と山東昭子先生(略)くらいだったかも」と小池氏は振り返る。さらに、彼女たちが役職を射止めると、男性議員から強い嫉視(しっし)を浴びることになる。

小池氏は男のくだらない嫉妬渦巻く政界を巧みに遊泳し、環境大臣や防衛大臣、自民党総務会長などの要職を歴任した。一方、彼女には「シロアリ」という陰口もついて回った。彼女は日本新党から参院議員に初当選して以降、新進党、自由党、保守党と渡り歩いた。これら政党はすべてシロアリに柱をかじられたかのように崩壊していった。

さすがに自民党ならば被害は受けまいと思っていた。ところが、小池氏は自民党を出て都知事に当選するや、今年7月の都議選では「都民ファーストの会」なる地域政党を立ち上げた。これで多くの自民党都議を落選に追いやった。自民党とて“シロアリ”百合子の餌食になったのである。

そして、9月28日に安倍晋三首相が「自己都合」解散に打って出ると、“シロアリ”は民進党に襲いかかった。同党の前原誠司代表との密談で彼に首相の座を約束したかどうかは知る由もない。だが、民進党はあっけなく彼女率いる「希望の党」の軍門に降った。“シロアリ”党がつきつけた政策協定書に「鼻をつまんで署名」して、同党の公認を得た民進出身の前衆院議員もいた。

危うく“シロアリ”の魔の手から逃れた枝野幸男前衆院議員らは、立憲民主党を結成した。人々の意趣返しのように、同党のツイッターのフォロワー数が既成政党のそれを超えてぐんぐん伸びている。10月10日午前6時時点でそれは17万を超えた。

さて、10月22日に衆院総選挙を迎える。結果を想像することがこんなに怖い総選挙ははじめてだ。「安倍やめろ!」はもちろんだが、“シロアリ党”が都議選のように大化けすると、ついには日本全体を右へとかじり倒しかねない。

「都政が大きく変わったように、女性のリーダーが国を大きく変えることもあるでしょう。その環境づくりのために、国政を“リセット”する必要があるのです」。小池氏はインタビューをこう結んでいる。はて、小池知事になって都政は大きく変わったのか。とまれ、“シロアリ”百合子の本音は女性であることを隠れ蓑に、自分の栄達を図ることなのだろう。すりかえを見誤ってはなるまい。ある高名な政治学者がこっそり教えてくれた。小池氏に会った人はその傍若無人ぶりに例外なく彼女のことを嫌いになると。

共産党が小選挙区候補者の取り下げを大胆に進めている。英断だ。立憲民主党、共産党、社民党が共倒れせず躍進することで、「保守二極化」の悪夢を阻止してほしい。

(にしかわ しんいち・明治大学教授。10月13日号、一部敬称略)

僕のiPad(小室等)

夜遅く自宅前の植え込みの脇にiPadなどが入ったキャリーバッグを置き忘れたことに気づいたのは翌日で、あわてて見にいったがあるわけもない。Appleに連絡し、スタッフ誘導の下ロック完了、その時点で僕のiPadは荒川に架かる戸田橋辺りに存在することをPCの地図が示していた。

それで思い出し、以前に買っておいたDVDを引っ張り出してみた。一九六九年三月からNHKで放映された英国制作の連続テレビドラマ「プリズナーNo.6」。

〈オープニングタイトルは、猛スピードの、レーシングカータイプのオープンカーで本部に乗り付けた英国の諜報部員である主人公が、上司に辞表を叩きつけ、その足で自宅に戻り、旅の荷造りをするが、監視の手によって鍵穴から催涙ガスを注入され眠らされる。目が覚めるとそこは「村」と呼ばれる国籍不明の場所。「村」には多くの者が「プリズナー」(囚人)として拉致されてきており、それぞれ自分の正体は伏せたまま、番号で呼ばれている。「ナンバー・シックス」を与えられた主人公は「ナンバー・ツー」と呼ばれる「村」のリーダーから辞職の理由と知っている情報を問い詰められるが、頑なに回答を拒否。組織は最新の方法で情報を聞き出そうとするが、「ナンバー・シックス」はそれを退け、チャンスがあれば「村」からの脱出を試みるが、行動は「村」のあらゆるところに仕込まれた隠しカメラの監視下にあり、毎回失敗に終わる〉

「プリズナー・ナンバー・シックス」を演じるのは英国育ちのパトリック・マクグーハン。この作品のプロデューサーでもあり、「刑事コロンボ」の客演や、『007』シリーズのボンド役を断ったことでも知られている。

当時、日本語吹き替えの声は、小山田宗徳、若山弦蔵、近石真介、真木恭介、早野寿郎、久松保夫、(国会議員になる前の)山東昭子、山田康雄、愛川欽也諸氏、日本の声優の一時代を築いた錚々たる声優のみなさん。

ドラマはそう、今見直してもやっぱりおもしろい。でも当時は架空の出来事としておもしろがっていた。まさか、こんなにもリアルに今の日本に似ているドラマだったとは。マイナンバーを押し付けられ数で管理され、町のいたるところに防犯カメラが設置され僕らの動向は四六時中監視され……。

マイナンバーで必要書類の申請・取得の手続きが簡単。防犯カメラが役立って犯罪者が捕まればめでたしめでたし。iPadが見つかればよし。

本当にそれでいいのだろうか。

失うものはない?

(こむろ ひとし・シンガーソングライター、10月6日号)

地方創生こそ最優先課題だ(高橋伸彰)

地方はなぜ衰退したのか。その原因を究明せずに、国家戦略特区という名の治外法権をいくら「濫用」しても地方は創生しない。地方は戦後日本の経済成長に乗り遅れたから衰退したのではない。逆に、戦後の日本経済こそ地方の共同体を破壊し、地方から人材を奪い、地方に犠牲を強いて成長を遂げてきたのである。

本気で地方消滅という国難を突破しようとするなら、中央集権を牽引してきた霞ヶ関の大改革が必要だ。まずは、輸出大企業を優遇し国際競争力強化を錦の御旗に地方には工場だけを配置してきた経済産業省を解体し、替わりに中小企業の地方立地と創業を支援する中小企業省を創設したらどうか。

また、教科書の記述内容を細部にわたり検定し、画一的な指導要領を押しつける文部科学省も解体して、その予算と権限を地方の教育委員会に移譲し、地方で生まれ、育つ子どもたちの教育に対し地方が主体的に取り組めるようにしたらどうか。

さらには、国土交通省が牛耳る公共事業の予算配分や実施の権限も自治体に移譲し、税と予算を一手に握る財務省は廃止して予算の企画・立案機能を国会の常設委員会に移し、所得税や法人税については地方に税源移譲したらどうか。

いずれにしても東京に集中する政・官・民の巨大な機能、権限だけでなく、人的ストックも含めた有形・無形の資産を地方に分散しなければ地方創生はいつまでも夢物語だ。夢を実現するには国会をはじめとする首都機能の移転はもちろん、東京に本社(含む本社機能)を置く大企業にも本社を地方に移さなければ法人税率を罰則的に引き上げるとか、内部留保に特別資産税を課すといった「鞭」をふるう必要がある。こうした改革は戦後民主化の過程で断行された改革と比較すれば、けっして無理な注文ではないはずだ。

地方創生は限られた国土を有効に活用し、誰もが安心・安全に生活できる社会を構築するために時の政権が最優先で取り組むべきミッションである。それにもかかわらず今日に至っても達成できないのは歴代の政権が地方衰退を放置し、東京一極集中に抗する政策遂行を怠ってきたからだ。

経済の効率性よりも人間の心が大切だと主張し続けた経済学者の宇沢弘文は、GDP(国内総生産)などの経済統計で測った高度成長期の繁栄は見かけにすぎないと批判し、ゆたかな社会を築くためには市場メカニズムに依存せず地方で暮らす人々が地方の視点で、主体的に地方のコモンズ(社会的共通資本)を維持・管理することが重要だと説いた。

政策の成果を出すことよりも政策の看板を付け替えることに精を出し、数十年前から進行していた少子高齢化を今さら国難だと称し、その解決を大義にして臨時国会の冒頭で衆議院を解散するような安倍晋三首相には、戦後日本が直面してきた最大のアポリア・地方衰退を解決できる能力はない。

今回の総選挙で真正面から安倍政権に対抗するなら、党派を問わず野党は改憲や消費増税の是非だけではなく、いかに地方を創生するかを争点に掲げるべきだ。そうでなければ衰退する地方から希望は生まれないのである。

(たかはし のぶあき・立命館大学国際関係学部教授。10月6日号)

前原誠司氏はリーダーの資質に欠ける(西谷玲)

10月10日の衆議院議員選挙公示を控え、日々政治状況が大きく動いている。このコラムが出るころには、東京都知事に就任して1年2カ月しか経っていない小池百合子氏が衆院選に出るかどうかがはっきりしているし、リベラル新党の動向もはっきりしているだろう。

前回の本欄(9月8日号)で「新たな船出か泥船か」と民進党新代表への懸念を指摘したが、希望の党と民進党の「合流」劇は非常にお粗末だった。前原誠司氏のリーダーとしての資質がないことが露呈した。合流という以上、全員を受け入れることを担保しなければ意味がないだろう。人生をかけて政治に取り組んでいる、あるいはめざしている人たちのことをどう思っているのか。

この人は昔からそうだが、どうも自分をヒーローだと思い、その自分に酔っている感じがある。今回も「安倍政権打倒のための野党大同団結に殉じる自分」に酔っていたように見えた。しかし詰めが甘すぎる。巻き込まれた人たちはたまったものではない。

枝野幸男氏が代表になっていたらこうはなっていなかった。民進党は肝心なところでリーダー選びを間違える。政権交代を目前にした民主党時代の2009年も、岡田克也氏と鳩山由紀夫氏が立候補して、世論の支持は岡田氏のほうが高かったのに、選ばれたのは小沢一郎氏がバックについていた鳩山由紀夫氏だった。

希望の党は、すでに多くの人が指摘しているように「極右」の党である。小池百合子氏は保守系(というか、右翼)団体の日本会議国会議員懇談会に籍を置いていた。「希望」は外国人地方参政権に反対し、憲法改正に前向きだ。

「寛容な保守」と見せかけるために、とってつけたように夫婦別姓容認を挙げているが、いかにもわざとらしいし、いかがわしい。「寛容な保守」が排除し、分断を促進しているのだ。洒落にもなっていない。

新党騒ぎが起きてから、漫画家の小林よしのり氏の講演を聞く機会があった。リベラル新党結成をめざしたいと話していた。かつて右翼の先鋒と思われていた氏が「リベラル」である。社会がどんどん右に寄っているのだ。

日本社会はどんどん不寛容になっている。そもそも、今回の解散の大きな引き金の一つであろう、山尾志桜里氏の「スキャンダル」騒ぎもそうである。政治家の仕事と、私生活は関係ない。きちんと仕事さえしてくれればいいのだ。だいたい、彼女のことを責められる人がどのくらいいるのだろう。

そして、「寛容」を掲げる党の選別と排除、非常に嫌な感じを受ける。しかもそれを決めているのはごくわずかな人たちで、クリアな基準もない。

これから何が起こるのか。小池氏が衆院選に出れば、「希望」が勝利、与党となって彼女が首相となることだって考えられる。

そうでなくて、自民党が与党のままでも大敗すれば安倍晋三首相が退陣し、総裁選が行なわれる可能性もある。その際、これまで下馬評の高かった岸田文雄氏とならず、大穴的存在であった野田聖子氏が出てくるかもしれない。となれば、こちらも初の女性首相となる。野党の再編だってあるだろう。もう何でもあり。日本政治は混沌と混乱の時期に入った。
(にしたに れい・ジャーナリスト、10月6日号)

沖縄新基地反対集会に2000人 「無許可の岩礁破砕は違法だ」

沖縄県の翁長雄志知事は10月10日、名護市辺野古の新基地建設で、無許可での岩礁破砕は違法だとして、県が国を相手に起こした破砕を伴う工事の差し止めを求める訴訟の第1回口頭弁論で、意見陳述をした。これを支援しようと、東京・日比谷野外音楽堂で10月4日、新基地建設反対集会が開かれ、2000人の参加者が「辺野古新基地NO!」のプラカードを掲げた。

この裁判は、仲井眞弘多前知事が許可した工事に必要な「岩礁破砕許可」が今年3月31日に期限切れとなったにもかかわらず、政府は必要な知事への再度の許可申請を「不要だ」と主張。県が7月、「工事は違法だ」と、工事差し止めを那覇地裁に提訴したもの。

こうした政府の強硬な態度の背景には、現地の大浦湾の海底が予想以上に地盤軟弱なため、沖縄防衛局が工法の変更を迫られている現実がある。だが、工法変更や地盤改良には県知事に変更申請が必要で、許可が下りる見込みはない。その結果、本格的な工事着工に至らないまま、「岩礁破砕許可」の期限切れ後もアリバイ的に仮設工事を続けている形だ。

集会で発言に立った「基地の県内移設に反対する県民会議」の大城悟事務局長は、「大浦湾海底には活断層がある可能性もあり、すでに調査船が繰り出している。工事は予想以上に困難となっており、いま一番焦っているのは国だ」と強調。引き続き、工事阻止に向けた全国的な支援を呼びかけた。

また、港湾労働者らで組織する全港湾の糸谷欽一郎委員長は、辺野古の基地建設工事に使用される土砂の搬出入業務は「違法だ」と強調、政府が強行された場合、「実力で阻止する」と連帯を表明。会場から大きな拍手が湧いた。

翁長知事は2日、同防衛局に対し、工事海域で見つかった希少サンゴの保全のため、工事停止を文書で要請するなど、現場での座り込みを含め、攻防が続いている。

(成澤宗男・編集部、10月13日号)

モリカケ疑惑解明求め、市民5団体が文科大臣らに要望書

「もりかけ疑惑を選挙の争点に」と訴える5団体の会見=10月3日、文部科学省。(撮影/片岡伸行)

「今回の解散衆院選挙は国政私物化疑惑の追及から逃れるための『もりかけ疑惑隠し』。野党はそれを前面に出して訴えてほしい」――。各党の公約が出そろう前の10月3日、「森友学園問題を考える会」の木村真・豊中市議と「今治加計獣医学部問題を考える会」の黒川敦彦共同代表ら森友・加計疑惑を追及する市民5団体のメンバーが東京・霞ヶ関の文部科学省記者クラブで会見を開いた。「もりかけ疑惑」を追及していた野党第1党の民進党が小池百合子・東京都知事を代表とする「希望の党」に吸収され、分裂してしまったため、疑惑解明を求める声がしぼんでしまうのではないかと危惧する。実際、希望の党の公約には「疑惑解明」の字句すらない。争点に掲げるのは日本共産党と立憲民主党、社民党ぐらいだ。

会見後、木村さんと黒川さんは、加計学園獣医学部について「建築費水増し疑惑とバイオハザード(生物災害)の危険性が指摘されているのに認可するのは不適当」などとする要望書を林芳正文部科学大臣と大学設置・学校法人審議会長ら宛に提出。地元の今治市では9月議会で「建築費水増し疑惑とバイオハザードリスク」を審査する第3者専門委員会の設置を決め、4カ月から5カ月をかけて審査する方針であることから、「その審査結果が出てから、大学設置審の獣医学部新設の是非が決定されるべき」と訴えた。

また、木村さんと黒川さんが9月26日に発足させた「モリカケ共同追及プロジェクト」では、菅良二・今治市長を「市に損害を与えた」として「背任」の容疑で、また、加計孝太郎理事長を「補助金詐取」の疑いで、さらに安倍晋三首相を「詐欺幇助」の疑いでそれぞれ刑事告発していく方針だ。「すでに100人を超える賛同者を得ており、1万人を超える賛同者を集めるべく市民団体と連携して活動していく」としている。

(片岡伸行・編集部、10月13日号)

岐阜県各務原市議会の多数派が少数派の言論“封殺”

岐阜県各務原市の市議会で、「言論の府」として首をかしげたくなるような事態が起こっている。9月27日の定例会最終日、市政に疑問を投げかけた少数会派議員の発言が、議事録から消されたのだ。

問題とされたのは公共建築物の耐用年数を巡る一般質問。「各務原市には二つの基準があり、市民をだましたことになりませんか」と問う杉山元則議員の発言に対し、取り消しを求める動議が最大会派の議員から提出され可決された。

同市では、建設から44年になる市庁舎建て替え計画が進む。市は現庁舎の耐用年数を、コンクリートの調査や日本建築学会の標準仕様書に基づき65年と推測。「耐震・免震補強を行なっても耐用年数は変わらず、約20年後には建て替え議論が必要となる」とし、耐震化を建て替えで行なうことに決めた。

一方で、市庁舎より古いものも多くある小中学校の校舎については、「文部科学省の手引を参考に長寿命化計画を作る」と答弁。手引には「70年から80年程度、さらに技術的には100年以上もたせる長寿命化も可能」と書かれている。

そこで杉山議員が「二つの基準」としたわけだが、これが「市の答弁内容を歪曲し、市民に著しい誤解を招き、議会の秩序を乱し、品位をおとしめるもの」とされた。何が問題なのか。最大会派会長の川瀬勝秀議員に問うと、「市が嘘を言ったように聞こえるので、取り消してくださいということ」という答え。同市議会は、浅野健司市長を支持する勢力が24人中20人を占める。杉山議員に賛同した市民グループが昨年、8000人を超える署名を集め直接請求した市庁舎建て替えか耐震補強かを問う住民投票条例案は、否決されている。

名古屋大学大学院法学研究科の後房雄教授(政治学)は「言論を取り消すなんて一線を越えている。多数会派は、批判的な意見があることまで抹消したりする必要はないはずなのだが」と話している。

(井澤宏明・ジャーナリスト、10月13日号)