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「Fight for $15」世界各地で一斉行動 日本でも最低賃金1500円求める

東京・渋谷区センター街のマクドナルド前にて。(撮影/松元千枝)

来月から最低賃金が改定されるのを前に、全国一高い東京の958円でさえ人間らしい生活を送るには到底不十分だとして、9月4日、時給を国際水準である1500円にしようと労働組合などが都内渋谷区でアピールした。

この最低賃金引き上げキャンペーンは、2014年に米国ファストフード労働者が時給増額と労働組合結成を求めて声をあげたFight for $15の一環。この日は、レイバー・デー(米国の労働者の日)にちなんでIUF国際食品労連が提起し、低賃金労働者らが呼応して世界各国で行動が組まれた。日本では東京以外にも全労連が22道府県で行動展開した。

「月給13万円で東京で暮らせますか?」「毎月映画を観にいく余裕はありますか?」「休みには旅行を楽しんでいますか?」

世界同時アクションに参加した下町ユニオンの加瀬純二事務局長は、若者や観光客でにぎわう渋谷センター街や駅前でこう呼びかけた。15年以上勤務しても時給が1020円だったローソンストア100で働く下町ユニオン組合員のエピソードを紹介。ボーナスも退職金もないのに、店の売り上げが下がったことを理由に閉店1カ月前に告知されて退職を迫られたため、団体交渉を予定しているという。加瀬さんは、時給が低すぎて長時間労働やダブルワーク、トリプルワークせざるをえない日本の労働実態について語り、こう続けた。

「『働きすぎはもうゴメンだ』とは言え、非正規労働者やアルバイトだと働かなければ生活できない。泣き寝入りをせず、だれもが安心して働き人間らしい生活ができるよう労働組合に加入して働き方を変えていこう」

世界の労働者との連帯行動には、労働契約法20条裁判で非正規労働者の差別是正を求めて会社を提訴した原告組合員の姿もあった。

【労働条件の向上を】

郵便局で働く郵政産業労働者ユニオンの浅川喜義さんは、非正規労働者が安心して働けるようになるには労働条件も向上させるべきだと指摘。地下鉄売店で働く全国一般東京東部労組メトロコマース支部の後呂良子さんは、同僚が65歳をすぎてもトリプルワークせざるをえないため、いつ倒れてもおかしくない働き方を強いられているとマイクで訴えた。

一方で、正社員であっても残業代が含まれる月給額の設定に、気づかないうちに最低賃金ラインで働かされているといった相談が増加しているという実態も報告された。都内の印刷会社で働く男性は、「印刷労働者は残業代で食っていると言われる。賃金が低すぎて、結婚できない。家族を養えない。普通のことが普通にできない。こんな社会はおかしい」と問いかけた。

アピール行動に聞き入っていた42歳のIT関係で働くフリーランスの男性は、パワハラや過酷な長時間労働で健康を害した経験を持つ。最賃の大幅引き上げは重要だとして要求に賛同する一方で、「労働組合に相談する時点で身体が限界にきているため、労組に加入しても仕事を辞めざるをえないことが多い。困っている労働者は早めに相談するべきだ」と語った。

この日は、米国をはじめ、ニュージーランドやフィリピン、韓国でも抗議や職場放棄など時給増額や労組を認めるよう雇用主に要求する行動があり、英国では2店舗のマクドナルドでファストフード店における史上初のストライキを決行した。

最低賃金ギリギリの時給で働くため、食費を削り健康を維持できない生活実態が語られ、世界中で事業展開するファストフード大手企業が、ディーセントワーク(人間らしい労働)を保障していない現状が明らかになった。

ニュージーランドや英国では、稼働率が低い時間に雇用主が労働時間を削り、賃金を支払わなくてもすむ「ゼロ時間契約」が導入されたことで、不安定な収入で生活が成り立たない労働者が続出。近年、この契約の撤廃を求める運動が続いている。

(松元千枝・ジャーナリスト、9月15日号)