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上関原発計画の漁業補償金受取めぐり、祝島漁民が地裁に仮処分の申し立て

2017年8月29日11:27AM

6月20日、山口県漁協本店前。左から、祝島支店の清水敏保さん、本店職員、祝島支店の橋本久男さん、同竹谷芳勝さん。(提供/山秋真)

上関原発計画に35年間抗い続けている山口県祝島の漁民たち。その山口県漁協祝島支店の正組合員2人が7月4日、山口地方裁判所岩国支部へ仮処分の申し立てを行なった。同支店の5月10日の組合員集会で提出された「修正案」について、6月14日に組合員へ配られた書面議決書による採決の禁止を求めるもの。「修正案」は、同支店の昨年度の赤字補填に、上関原発のための漁業補償金を充てたい、その手続きとして総会の部会の開催を本店へ請求してほしい、という内容だ。

この漁業補償金は上関原発の建設と運転への同意を謳う契約に基づくため、同支店(旧祝島漁協)は受けとりを17年間拒んでいる。13年2月に受けとり賛成を議決と報じられるも、過半数である31人の正組合員が翌3月、受けとらない旨、1人1枚の書面に署名捺印して本店へ提出。だが本店主導で補償金の配分案が作られ、採決を迫られた。島ぐるみで原発計画に抗う祝島は混乱したが、15年4月の配分案否決で収まった。

ところが、先述した今年5月の集会で本店の幹部が、「修正案」を出すよう一組合員を促しつつ「定款規約の定めでその場で採決が必要」と介入。6月14日には「修正案」への賛否を問う文書と書面議決書が組合員へ配られた。差出人は山口県漁協祝島支店「運営委員長兼組合員集会議長 恵比須利宏」、提出期限は6月21日、返送先は同支店か光熊毛統括支店。

だが恵比須さんは「この文書を作っていない」と明言したと、本人に尋ねた組合員が話す。彼は祝島支店の運営委員長を5月の集会終了時に辞めたうえ、議長の任は集会終了までだ。この文書は内容に虚偽があり、それに基づく書面議決書は無効だと、同支店の運営委員・岡本正昭さんと橋本久男さんは回収しようとした。その際、提出された書面議決書がすべて光熊毛統括支店にあると判明。「祝島の組合員集会のことだから、祝島支店で保管する」と6月19日、ふたりは同支店の竹谷芳勝支店長とともに光熊毛統括支店へ行き、書面議決書の回収を求めた。

だが「本店の許可なく返せない」と拒まれ、翌20日は本店(下関市)へ行き、仁保宣誠専務理事らと祝島支店側が面談。本店は書面議決書を有効と主張したが、「作成したのは本店」と認めた。祝島支店の運営委員会に知らせずに配布せよと、本店が指示したことも分かったという。

【今なお蠢く新規の原発計画】

なぜ運営委員会に知らせなかったか。5月の集会の最後に「修正案」は継続審議にすると議長が宣言し、出席者から異論もなかった、それは、「会は、その議決により続行することができる」と定める定款に則ったに等しく、「修正案」は継続審議になった、議事録にもそう記載されたからと本店は説明したという。

だが、「出席者からの異論は出ていた。目下、集会を録音した音源と照合して議事録案を確認中で、議事録も未承認だ」と橋本さん。一行は山口県農林水産部団体指導室へも走り、県漁協への指導を要請した。事前に通知された事項につき、集会開始前に提出する旨を定款規約に定める書面議決の濫用等を訴えたが回答は「権限外」。

6月21日の提出期限直前、「開票は強行せず、協議して実施」と関係者が祝島で合意した。

しかし中国電力は6月30日、この状況のもと上関原発の予定地で追加ボーリング調査を開始。7月4日の仮処分の申し立ては、こうした経緯で行なわれた。

翌5日、「司法の判断が出るまで開票しない」ことを関係者が合意。8月24日に審尋の予定となり緊張感が漂う7月18日、祝島支店運営委員の補欠選挙があった。旧祝島漁協の元組合長ら4人が棄権、白票1人という異例の状況で、先の「修正案」を出した組合員が当選。幼い子をおいて原発問題で駆け回った女性は「私らからすれば3日前のような最近に加入した人」の当選を嘆いた。3・11の東京電力・福島原発大事故から7年目。新規の原発計画が今なお蠢いている。

(山秋真・ライター、8月18日号)

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