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火山灰濃度の影響評価100倍に引き上げ 日本の全原発が非常時の基準満たさず

原発の火山灰の影響評価について、原子力規制委員会は7月19日の会合で、評価に用いる火山灰濃度を百倍規模に引き上げる基本方針を承認した。すでに許可済みの川内、高浜、伊方、美浜、大飯、玄海原発は、稼働中も含め、現状で規制の要求を満たしていない。

審査で用いられる規則及び火山影響評価ガイドは、火山灰によるフィルターの目詰まりで非常用ディーゼル発電機が機能喪失に陥ることがないよう要求している。電力各社は、火山灰濃度を仮定し、フィルターが詰まる時間と交換に要する時間を算出し、交換できることを示し、許可を得ていた。

仮定する火山灰濃度について、規制委は昨年10月に、米国セントヘレンズ火山での観測値を採用し、基準を約十倍に引き上げた。しかしその値は、観測機器の性能から過小評価の可能性があると観測者当人が指摘していたものだった。 また、同時期の規制委に、富士宝永噴火の推定値により、火山灰濃度が最大でセントヘレンズの約30倍になるとの電力中央研究所による新知見が報告された。

規制委は今年になって外部専門家を交えた検討チームを立ち上げた。その中で規制庁は三つの方法で試算を行ない、二つを採用したが、いずれもセントヘレンズの百倍規模となったのである。

電力各社は、許可済みの原発について新基準での試算を行なったが、川内、伊方、玄海原発は、交換の限界となる濃度の3~4倍に。大飯や美浜も限界濃度を超えた。高浜原発は同程度となったが、規制委が電源2系統の機能維持を要求したことから現状では新基準をクリアできない。電力各社は、フィルター性能を向上させ、運転しながら交換できるようにするというが、いずれも今後のことだ。

原発を直ちに止め、再審査なしに再稼働を認めるべきではない。8月7日14時から参議院議員会館にて規制庁交渉を予定している。

(阪上武・原子力規制監視市民の会、8月4日号)