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民進党は一刻もはやく戦闘態勢をととのえよ(西谷玲)

またも代表が辞めた。民進党だ。政権が混乱、弱体化し、ここぞとたたみかけなければいけない時にこの体たらくだ。

都議選で惨敗しても、当初、蓮舫氏は辞めるつもりはなかった。だからこその、二重国籍問題での戸籍の一部開示だった。あれもまったくの的外れではあったが、あんなことをしてまでも続投したいという気持ちの表れだったのだ。なのになぜ唐突の辞任になったかと言えば、それはひとえに野田佳彦幹事長の辞意表明によるものだ。

野田氏は7月25日に開かれた両院議員懇談会で辞意を表明した。蓮舫氏にきちんと相談していなかったようだ。もともと野田氏は幹事長就任に乗り気ではなかった。そりゃそうだろう。首相までやった人物がなぜ今さら苦労を引き受けなければならないのか。それが本人の偽らざる心境だったろう。

党内にも違和感が支配していた。野田氏は、最悪のタイミングで解散総選挙をして、民主党(民進党)を下野させた張本人である。だが、蓮舫氏は信頼できる人が党内にいなかったようだ。野田氏を幹事長に、そして学生時代からの友人で、蓮舫氏を民主党にスカウトした、落選中の手塚仁雄氏をアドバイザー格とした。

蓮舫氏は前原誠司氏に、言わば「上がり」ポストである顧問を打診するなど、人事は下手だった。安倍政権のことを「お友だち内閣」と揶揄できないかもしれない。

信頼していた野田氏に一方的に去られ、蓮舫氏は動揺し、数人に幹事長就任を打診したものの断られ、糸がぷつんと切れてしまったようだ。野田氏が辞任を表明した翌日は1人こもった。そして27日の辞意表明へと至るのである。蓮舫氏のやることもずれていたが、しかし、民進党の人々にも「あんたたちが選んだんだろ」と言いたくなった。自分たちで選んだんだから、全力で支えるべきだろう。それをしないから、信頼できない人たちだと思われるのだ。

後任の代表には、前原氏と枝野幸男氏が立候補すると見られている。対立軸は鮮明になって、わかりやすいとも言える。前原氏が当選すれば野党共闘は見直されるだろうし、他の野党も巻き込んだ再編という名の民進党の解党に進むかもしれない。枝野氏であれば、野党共闘は一定程度行なうであろうし、再編には慎重だと見られる。

安倍晋三首相は追い詰められており、民進党が立て直しを図る前をねらって、解散は案外早いかもしれない。そうなると、森友、加計学園も、南スーダンの国連平和維持活動の日報をめぐる問題も、どこかに行きかねない。両方ともまだ解決には至っていないのだ。

先日の閉会中審査でも、政府への疑問は深まるばかりだ。一つだけ、どう考えてもあり得ない点を指摘しておきたい。今治市職員の官邸訪問について「確認できない」「記録がない」「記憶にない」との答弁だったが、首相官邸にはアポがなければ外部の者は絶対に入れない(唯一の例外が記者クラブに所属している記者たち)。記録をとらないわけがないし、ある首相秘書官経験者によれば、同じ内閣が続いている限り、絶対に官邸訪問記録は破棄しない。もししていたとしたらそっちのほうが問題だ、とのことであった。まだまだ攻め手はたくさんあるのだ。民進党は一刻もはやく戦闘態勢をととのえなければならない。

(にしたに れい・ジャーナリスト、8月4日号)