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柔軟剤などのニオイ被害急増、消費者団体が「香害110番」を開設

「香害110番」を説明する日消連の杉浦陽子さん。7月13日、消費者庁。(撮影/岡田幹治)

強い香りをつけた商品が増え、ニオイで不快になる人や健康を害する人が急増している現状を放置できないと、消費者団体の日本消費者連盟(日消連、東京都新宿区)が動き出した。まず「香害110番」を実施して、苦しんでいる人たちから被害の状況や悩みを聴く。

柔軟仕上げ剤や消臭除菌スプレーに香りつき商品が増えたのは、5年ほど前から。その後、制汗剤や洗剤などにも広がり、いまでは文房具や洋服にまで香りつきが売り出されている。しかも香りが強く長持ちする商品が増えた。

結果が、ニオイの蔓延と香りによる被害(香害)の急増だ。いまや、あらゆるところにニオイが漂うようになった。電車などの車内・職場・学校・保育園・病院・介護施設などなど。住まいにも近所から流れ込む。

香りは好きな人もいるが、不快に感じる人もいる。それ以上に問題なのは、香りつき商品に含まれる微量の化学物質が人々の体内に取り込まれ、健康に影響を与えることだ。中でもニオイに敏感な人たちは、頭痛をはじめとする多様な症状に悩まされる。化学物質過敏症(CS)やアレルギー疾患を発症させたり、悪化させたりすることも少なくない。

CS患者の「駆け込み寺」であるCS支援センター(横浜市中区)には年間2000件ほどの相談が寄せられるが、「最近は香りに関連するものがほとんど」と広田しのぶ理事長はいう。たとえば――。

賃貸マンションに住んでいるが、春に引っ越してきた隣人の洗濯物のニオイがきつく、体調を崩してしまった。洗濯物が干してないときでも、隣家の通気口や換気扇から吐き出されるニオイが入ってくる。最近は頭痛・吐き気・のどの腫れ・発熱・倦怠感が強く、仕事にも行けなくなった。すれ違った人のニオイも気になるようになり、外出もままならない。隣人には管理会社を通じてお願いしたが、無視されている。この先、どうすればいいのか(30歳代の女性)。

【香害追放へなすべきは】

香害問題で日消連は、昨年2月、首都圏の私鉄・東京急行電鉄によるアロマ散布問題に洗剤部会が取り組んだ。東急が主な駅の改札口でアロマを拡散器で流し始めたため、公共交通機関では問題だとし、中止要請と公開質問状を二度送った。他の利用者からの意見もあり、東急は昨年9月で散布をやめた。

これをきっかけに各地のCS患者会などと協力するようになり、昨年夏には埼玉県熊谷市と神奈川県厚木市で、市庁舎などでのアロマサービスを止めさせた。そうした実績を踏まえ、運動を広げることにした。

まず機関誌『消費者リポート』7月号で「『香害』は『公害』」と題する特集を掲載。続いて「香害110番」で被害者たちの生の声を聴き、「香害に悩まされない暮らしと社会」をめざして企業や政府・自治体に働きかけていきたいという。

香害はタバコでいえば受動喫煙に当たると、筆者は考えている。喫煙はかつてごく普通の風習だったが、健康に有害とわかって禁煙者が増え、社会では分煙が進み、いま受動喫煙の防止が課題になっている。その過程に学べば、香害をなくすためにまずなすべきは以下のようなことではないだろうか――。

▽香り商品による健康被害の実態を広く知らせ、とくに子どもを守るため、保護者・教職員・医療関係者などの理解を深める。

▽芳香柔軟剤や消臭除菌スプレーなど、使えば有害だが、ちょっと手間をかければ使わなくて済む商品が多いことを広める。

▽公的な施設では香料を自粛するよう自治体などに求める。とくに学校・保育園・図書館や病院・介護施設などでは香料を使用しないように指導してもらう。

▽企業には、香り商品の宣伝・広告の自粛を求める。商品に「健康を損うおそれがある」といった警告表示をするよう働きかける。

◆香害110番は7月26日(水)と8月1日(火)の午前11時~午後3時。TEL 03・5291・2166(電話は1本、上記日時だけ)

(岡田幹治・ライター、7月21日号)