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共謀罪にトンチで対抗(雨宮処凛)

「共謀罪」法が成立した。

いつも通り、反対の声など鮮やかに無視するという方法で。

そんな共謀罪に関して、「素人の乱」(東京・高円寺周辺の暇で貧乏な人たちの集まり)の松本哉氏が「【必勝!】共謀罪対策!」というブログを書いている。まだ成立前に書かれたものなのだが、これがいちいち馬鹿馬鹿しくて素晴らしい。

たとえば「共謀しないでいきなり実行に移す」とか「自民党員と共謀する」とか、「なんとかだまくらかして政権を奪い、共謀罪で自民党や金持ち階級を弾圧しまくる」とか。さすが「トンチの神様」松本氏である。

そう、これから私たちがすべきなのは、「権力とのトンチ合戦」だと思うのだ。

そんなことを考えていて思い出したのは、2年前、安保法制反対運動が盛り上がる中、「素人の乱」界隈の人たちと開催した「アジア反戦大作戦」だ。

アジア各国との対立ばかりが煽られる中、アジアの人たちと「反戦」というキーワードで繫がろうという企画だ。これには韓国や台湾やフランスの人々が賛同し、同時多発的に世界各国でデモなど反戦アピールをしたのだが、東京の人々は、デモでの道路使用許可ではなく、「映画の撮影」ということで道路使用許可を取った。なぜか。デモだといろいろ警察がうるさいに決まってるからである。

が、「映画の撮影」ということであればおそらく自由にできるはず。しかも「撮影」開始時間を、高円寺阿波踊り初日の、まさに阿波踊りが始まる時間にぴったり合わせた。阿佐ヶ谷は、高円寺の隣。杉並警察署は阿波踊りで大忙しで、ちょっとやそっとのことでは阿佐ヶ谷に来られないだろうという計算だ。

そうして2015年8月29日午後5時、「映画の撮影」は始まった。監督役の「スタート!」のかけ声とともに駅前にやってきた迷彩柄の車(ミサイルを模したものを搭載している)に私たちは群がり、「戦争はやめろー!」「安倍はやめろー!」などと叫びながらブッ壊しまくったのだ。駅前で、「暴徒」のような集団が車を破壊しまくる。普通であれば、逮捕者が出たっておかしくない状況だ。

が、これはあくまでも「映画の撮影」。ちゃんと許可だって取っている。そうして破壊された車の前で「安倍はやめろ!」「戦争法案反対!」などと存分にアピールし、「映画の撮影」は終わった。ちなみに車は「この計画は歴史に残る! ぜひ自分の車を壊してほしい!」という有志の提供を受けたのだった。

共謀罪成立で、萎縮する、自由が奪われる、なんて声がある。だけど、自由は時に「トンチ」によって勝ち取れることもある。ゲームの難易度が上がった今、どんな作戦を立てようか、ワクワクしている。

(あまみや かりん・『週刊金曜日』編集委員。7月7日号)