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もっと闘え!民進党(西谷玲)

2017年4月21日3:34PM

今回は2月10日号本欄に続き、民進党のことを取り上げたい。ご存知の通り、今国会では森友学園問題で紛糾している。ここでこそ攻勢をかけて安倍政権を追い詰めなければならないし、それが可能なはずなのに、迫力不足に見えるからだ。各種世論調査で、安倍政権の支持率が下がっていても、民進党のそれが上がっていないのはその表れだろう。

何といっても国会戦略のまずさが挙げられる。まず、予算を早く通しすぎた。森友学園問題では、2月17日の時点で安倍晋三首相は、国有地が格安で払い下げられたことについて、「私や妻が関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める」と明言している。ここまで言い切るか、という調子だったわけだが、この時点でこの問題の重さを察知して、戦略や進め方を練らねばならなかった。

それなのに、その10日後の27日にあっさりと予算を衆院で通してしまった。スピード通過である。その後、稲田朋美防衛相は、森友学園の訴訟について、答弁を撤回して謝罪をしている。3月半ばのことで、まさしく虚偽答弁で大問題だ。もう少し予算通過を遅らせていれば、国会戦術として、予算を「人質」にとって稲田氏の辞任を迫ることだってできたはずだ。

稲田氏については、南スーダンのPKO(国連平和維持活動)での日報を防衛省が廃棄したとしていたが、その後保存されていたことが発覚している。その日報には、昨年7月の首都ジュバの状況を「戦闘」と表現していたが、「衝突」と言い換えてきた。なぜならば、「国会答弁をする場合、憲法9条上の問題になる言葉は使うべきではないことから、武力衝突という言葉を使っている」(稲田氏)からだ。逆だろう、憲法に抵触するからと現実を捻じ曲げてどうする。そんな問題だらけの防衛相、“首”をとれなくてどうするのか。国会のやり方としてどうなのか、という民進党への疑問はまだある。

籠池泰典氏への証人喚問の時、衆院で質問に立ったのは枝野幸男氏であった。彼は論客だし、質問巧者でもある。しかし、ここではこの問題に先鞭をつけた福島伸享氏が担当するのが筋というものだろう。先述した2月17日の質問も福島氏によるものだ。一番問題に詳しい彼になぜやらせないのか。

それは、「偽メール事件」の再来を懸念して、ということのようだ。偽メール事件は2006年、今の野田佳彦幹事長が国対委員長の時のことだった。あの時の失敗のように、問題をあおりたくない、あくまで慎重に進めたい、ということのようだ。偽メール問題とこの森友問題は位相を異にしているように思えるがどうだろうか。そうならないように、福島氏を党が側面支援すればいい話ではないか。ビビり過ぎのように思えるが。

今、民進党に必要なのは「闘うんだ」「必死なのだ」というファイティングスピリットである。それが見られない。そこを国民に見透かされて、支持率が伸びないのではないか。ある若手は「解党しかない」と言った。じゃあ出ていったら? と言いそうになった。なぜならその言い方が、他人事のように聞こえたからだ。党がこんなふうになったのは上のせいだ、自分のせいじゃない、というように。なんか冷たいのだ。きっと、こういう人が多いから党がこんなことになってしまった、気がする。

(にしたに れい・ジャーナリスト、4月7日号)

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