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安保法の違憲性訴えた現職自衛官初の訴訟を「門前払い」

2017年4月14日12:00PM

東京地裁(吉田徹裁判長)は3月23日、現職の陸上自衛隊員が“戦争法”(安全保障関連法)による集団的自衛権の行使は憲法違反だとして、自衛隊法76条による防衛出動命令に服従する義務がないことの確認を求めた本人訴訟で、訴えを却下する判決を下した。なおこの日の法廷には、原告も被告の国側も不在だった。

全国で“戦争法”の違憲訴訟が起こされているが、現職自衛官が原告となった初めてのケースとして注目されていた。現在、ほとんどの自衛官は「服務の宣誓」をした際、任務が国土内に限定した「専守防衛」を前提にしており、集団的自衛権行使のように海外での武力行使は想定外となっている。このため今回の訴訟は、“戦争法”の実際の運営に関わる根本問題を提起していた。

判決で吉田裁判長は、国の主張をそのまま繰り返し、原告が事務職であるとして、「現時点で原告に出動命令が出る具体的可能性はなく、原告の権利や地位に危険や不安が存在するとは認められない」と認定。訴えは不適切とした。事実上の門前払いで、“戦争法”の内容や「服務の宣誓」については、一切触れていない。

だが、“戦争法”に規定された「駆け付け警護」や「宿営地の共同防衛」といった新任務が付与された南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に加わった自衛隊員については、撤退が決まったとはいえ、「服務の宣誓」との関係や命令服従の是非について依然問題が残されているはずだ。

このため、東京の練馬駐屯地で自衛官に“戦争法”への不服従を訴えている「練馬平和委員会」の坂本茂さんは、「結局門前払いにされた形だが、原告が不当だとして訴えたこと自体は大きな意義があり、その勇気を讃えたい。声は出せないが、原告と同じような気持ちを抱いている隊員は少なくないはずだ」と指摘している。

(成澤宗男・編集部、3月31日号)

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