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森友学園に「特別の力学」(西川伸一)

森友学園の籠池泰典理事長は3月10日に、小学校の設置認可申請を取り下げ、理事長を退任する意向であることを記者会見で表明した。政治家の口利きについて記者から質問されると、「ないですよ」を繰り返して強く否定した。だれが信用しようか。

自民党の衆議院議員で学校法人作新学院の学院長でもある船田元氏は、自身の3月6日付ブログに「森友学園の異常さ」と題した文章を載せている。同法人は作新学院大学を1989年に新設した。校地として約5000平方メートルの国有地が払い下げられた。その際、関東財務局が提示する価格どおりに同法人は購入し、「価格面での交渉は全く行わなかった」。

国有地払い下げは関東財務局、大学設置認可は文部省(当時)、農地転用は関東農政局の管轄である。三者間でのすりあわせは困難をきわめ、「予定よりも2年遅れでようやく開校にこぎ着けた」。

こうした経験をもつだけに、船田氏の次の指摘には説得力がある。

「だから今回の国有地払い下げにおいて、財務局の提示価格の10数%だったことや、非常に短い時間で払い下げが決まったことを聞くと、どうしても特別の力学が働いたと思わざるを得ないのである」

ところが、3月9日付『読売新聞』の社説は、「膨大な廃棄物が埋まった土地である以上、売却価格の減額は正当であり、政治家の関与はなかった、という見解は理解できる」と書いた。さすが“現政権の御用新聞”と感心するほかない。実はこの社説にも「特別の力学」の作用が疑われる。『選択』3月号の「マスコミ業界ばなし」はそれを示唆している。

「問題の土地の売買を認めた『国有財産近畿地方審議会』のメンバーには、読売新聞大阪本社編集局の現職の管理部長(当時)がいた。さらに、土地を購入した学校法人による小学校の新設を認可した大阪府の『私立学校審議会』にも、読売の現職社員が名前を連ねているのだ」

「特別の力学」が働いたと思われる件はさらにある。前述の籠池氏のまさに記者会見中に、安倍晋三首相は南スーダンの自衛隊PKO部隊を5月末をめどに撤収させる方針を明らかにした。「森友」から注目をそらすかのように。

このニュースは3月11日付の『朝日』、『産経』、『毎日』、『読売』の各紙朝刊で1面トップを大きく飾った。首相は「一定の区切り」を撤収の理由として挙げ、菅義偉官房長官は「治安の悪化は要因になっていない」と説明した。切迫性がないのなら、なぜ10日の発表としたのか。しかも、撤収を決定したこの日の国家安全保障会議の開催時間はわずか10分余りである。政権の方針は、1時間半にわたって開かれた前日の同会議ですでに決まっていたはずだ。

東京版の各紙を見ると、トップは譲ったが、『朝日』と『産経』は「森友」を1面に掲げた。『毎日』と『読売』は社会面に回されている。さすがに大阪版では、両紙も1面にもってきている。

さて、籠池氏の記者会見には彼の長男が同席していた。そこで「共産党と朝日新聞が連動して事態が勃発した」などと述べたという(3月10日付『朝日新聞』)。これぞ「逆ギレ」で、共産党と『朝日新聞』にとっては最大の賛辞だろう。

(にしかわ しんいち・明治大学教授。3月17日号)