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「ピースおおさか」展示撤去、府・市への賠償請求棄却――戦争の加害知る権利認めず

「不当判決」に抗議する竹本昇さん(中央)と支援の人たち。(撮影/平野次郎)

「不当判決」に抗議する竹本昇さん(中央)と支援の人たち。(撮影/平野次郎)

大阪府・市が出資する資料館「ピースおおさか」(大阪市中央区)が戦争の加害展示を撤去したリニューアルをめぐり、変更内容を記した文書が非公開になったため知る権利を侵害され精神的苦痛を受けたとして、市民団体「『ピースおおさか』の危機を考える連絡会」の竹本昇さん(66歳)が府・市に損害賠償を求めた裁判の判決が12月8日、大阪地裁であった。山田明裁判長は「非公開決定は情報公開条例に基づき合理的」とし、また決定の異議申し立てに対する審査会への諮問を怠った点については条例違反としたが、違法とまでは言えないとしていずれも請求を棄却した。

判決によると、原告側は「文書を公開することは行政運営の透明性を確保し市民の行政参加を促進する観点から望ましいし、市民から寄せられる要望や批判は請願権や表現の自由に基づく正当な活動だ」と主張。被告側は「文書公開によって市民団体から要望や批判が寄せられメディアにも批判的に報道されることが想定され、ピースおおさか内部での率直な意見交換や意思決定の中立性が損なわれる」と主張した。そのうえで判決は「市民団体からの意見、批判などが多数提出されることによってリニューアルに向けた業務に支障が生じるおそれがあり、ピースおおさかの正当な利益を害するとした非公開決定の理由に合理的な根拠がある」と判断した。

また、判決は「原告は自己の人生を通じて歴史的加害行為と向き合う生き方を送っており、非公開決定で強い精神的苦痛を受けた」として原告の主張に触れたものの「判断するまでもない」と退けた。

判決後、竹本さんは「大阪府・市の情報公開条例違反を擁護する判決だ。戦争の加害と被害の悲惨さ残酷さを知る機会を奪われることは、またもや戦争に駆り出されることになる」と批判し、即日控訴した。

(平野次郎・フリーライター、12月16日号)