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日本大使館前で福島避難者へ――カナダ市民が連帯表明

2016年11月11日11:23AM

在カナダ日本大使館に向かって、抗議。(写真提供/絆ジャポン)

在カナダ日本大使館に向かって、抗議。(写真提供/絆ジャポン)

10月13日午後、カナダの首都オタワにある日本大使館前で、カナダ市民約350人が福島第一原発事故による放射能汚染からの避難者への連帯を表明し、来年3月末に予定されている、避難者への住宅支援打ち切りに抗議するデモを行なった。

この日は、今、エクアドルで開催中の世界住宅フォーラムに合わせて、FRAPRU(都市再開発における民衆行動戦線)というケベック州の住宅問題NPOが連携団体と共に首都の首相官邸前に集結し、“まともな住宅に住むのは人間の基本的な権利である。その為には低家賃の社会住宅、協同組合型住宅への予算を大幅に増額せよ”という要請行動をする日であった。

モントリオールからは、貸し切りバス5台に分乗した人が参加した。官邸前で賑やかな要請行動を行なった後、2キロメートル程離れた、日本大使館まで、全員でデモしながら歩いた。日本大使館前での抗議行動はFRAPRUが、この夏の世界社会フォーラムで住宅、土地部門を担当したから実現したことだ。フォーラムで、福島からの避難者が日本の現状を話したことで、住宅部門の合意事項として、原発事故避難者への連帯を決定した。それを具体化したのがこの抗議行動だ。

デモに参加した350人がはじめから、原発事故と避難者のことを正しく把握していたわけではない。バスの中や、出発前に各団体のリーダーが、日本大使館に行く理由をまず説明した。大使館前では、FRAPRUの人が2011年の事故で、大量の放射能が出て、多くの人が避難したこと、被災地はまだ普通に人間が生活してはいけないレベルの汚染があること、日本政府が避難者への帰還政策を強力に打ち出し、住宅支援を打ち切る予定で、危険を承知で帰らざるを得ない人が出ることを詳しく説明した。その後で、日本人参加者が「脱被ばく実現ネット」からのメッセージの英仏訳を読み上げた。最後はFRAPRUの用意した、仏語のコールを全員で何回も唱和した。“戻るな福島! 守れ住む場所!”“避難者に必要なのは、屋根と健康!”“福島に帰すことは、死を意味するんだ、殺人なんだ”“日本でも、カナダでも、住む場所持つのは、人間の権利!”――この一連の抗議行動で、福島問題に関心を持った参加者が、私たちのポスターを読みに来たり、チラシを貰いに来たり、質問や意見交換に来たりした。

日本人が3人しか参加しなかったのが残念であったが、「住宅問題を闘っている」という、ただ一つの共通項で、FRAPRUが350人もの人を動員した抗議行動を展開したことに目を見張る思いだった。

(長谷川澄・モントリオール9条の会、10月28日号)

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