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憲法改正問う「国民投票の広報費用に上限を」――ルール改善に向け識者が議論

2016年11月10日1:37PM

英国のEU国民投票で新聞掲載された残留派の意見広告を紹介する今井一氏。(撮影/斉藤円華)

英国のEU国民投票で新聞掲載された残留派の意見広告を紹介する今井一氏。(撮影/斉藤円華)

憲法改正を問う国民投票の実施時に十分な国民的議論を保障するよう、ルールの改善に向け識者らが意見を交わす会合が10月24日、都内で開かれた。ジャーナリストの今井一氏、作家で元博報堂社員の本間龍氏、法哲学者の井上達夫氏ら5人を中心に議論した。

安倍内閣が来年1月にも衆議院を解散するのでは、との憶測が流れる中、自民党は18日に党改憲推進本部の全体会合を開催。天皇の元首化など保守色の強い2012年の憲法改正草案を棚上げにする姿勢を示した。国会の憲法審査会での議論を加速させる狙いがあるとみられ、衆院選後の改憲発議がにわかに現実味を帯びている。

今井氏は現行の国民投票法について、「公職選挙法と比べても、証紙不要で誰でも自由にビラ配布やポスター掲示ができる等、市民の自由な活動を保障しており、そんなに悪い法律ではない」と評価。しかしその一方で「テレビCMや新聞広告といった有料キャンペーンには資金面を含めた制限等がなく、投票14日前までは野放し状態に近い」と問題点を指摘した。

その上で、今井氏は今年6月に実施された英国のEU国民投票での事例を紹介。EU残留または離脱を訴える運動に使える費用の上限は、各運動の代表グループそれぞれで700万ポンド(約9億円)とされた。また、各政党が運動に使える費用の上限も得票率に応じて決められ、保守党は700万ポンド、労働党が550万ポンドだったという。選管に登録した団体や企業、登録しない個人活動家の活動費用にも上限規定がある。

本間氏は、「インターネットを含めた広報費用の総量規制が必要では。カネを持っているほうが大量に広告を出せる状況を何とかするべき」と話した。井上氏は、「一方的な意見広告よりもディスカッションを。熟議世論調査など、国民レベルで熟議を推進する制度作りが必要」と説いた。

(斉藤円華・ジャーナリスト、10月28日号)

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