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障がい当事者が厚労省と交渉――相模原事件の検証に異議

2016年10月20日10:34AM

障がい当事者から厳しい追及を受ける厚労省の担当者たち。(撮影/山村清二)

障がい当事者から厳しい追及を受ける厚労省の担当者たち。(撮影/山村清二)

神奈川県相模原市で起きた障がい者施設殺傷事件から2カ月。その間、厚生労働省は、「相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チーム」(以下、検討チーム)による検証を実施、9月14日、「中間とりまとめ~事件の検証を中心として~」を公表したが、障がい者からすれば納得のいく内容ではないと、9月29日、東京・千代田区の参議院議員会館で、障がい当事者と厚労省が話し合う場が持たれた。

主催は、「『骨格提言』の完全実現を求める大フォーラム実行委員会」(横山晃久実行委員長)。同実行委の古賀典夫氏が、前述の中間とりまとめなど政府検証は、「措置入院後対応・対策のみの議論」「(これは)容疑者の言動を『精神障害者ゆえの言動』と決めつけている」ものと批判、「(容疑者の)考え方がなぜ形成されたのかを検証しないのか」などと質問したが、厚労省障害保健福祉部精神・障害保健課の九十九悠太課長補佐は、4カ月程度とされる「鑑定留置」(被疑者の刑事責任能力を問えるかどうか、精神・心身の状態を鑑定するため病院などの施設に留置すること)の判断との回答。

しかし、検討チームによる「再発防止策」のとりまとめは、「秋頃を目途」としており、容疑者の犯行の理由が解明されないままの再発防止策とりまとめには、参加者から、「事件を契機に、予防拘禁につながる措置入院の強化や、精神保健福祉法の改悪の意図があるのではないか」などと疑問の声が続出した。

古賀氏はまた、現場となった施設の実態も問うたが、厚労省原雄亮福祉サービス係長は、「研修などを確認した」などとするのみで、利用者の処遇などの実態は明らかにされず、さらなる検証を求めた。

交渉では、障害者総合支援法の改定に伴う政省令の改定、「障害者」の定義と難病者排除の問題などのテーマも話し合われ、同実行委は、10月27日に、東京・日比谷野外音楽堂にて、大フォーラムを開催する予定。

(山村清二・編集部、10月7日号)

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