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大型風力発電施設の乱立から野鳥を守るには

2016年9月9日11:20AM

大雨警報の中、120人が来場し関心の高さが窺われた。北海道札幌市。(写真/加藤やすこ)

大雨警報の中、120人が来場し関心の高さが窺われた。北海道札幌市。(写真/加藤やすこ)

8月20日、日本野鳥の会は「大型風車の建設ラッシュを考える」と題した市民フォーラムを北海道大学(札幌市)で開催した。

北海道では3000キロワット級の大型風車を設置する計画が相次ぎ、環境影響が懸念されており、自然エネルギーの普及と野鳥への影響、対策が検討された。

日本野鳥の会道北支部長の小杉和樹さんは、「道北地方では2012年度末現在で172基の風車が建ち、面積では全道の1割以下の道北に大型風力発電施設の6割の風車が集中。さらに最大500基もの設置計画が進み、渡り鳥の移動や希少猛禽類の営巣、採餌、景観にも影響が出る恐れがある」と訴えた。

名古屋大学の丸山康司教授(社会環境学)は、事業者と地域社会が折り合っていくための合意形成のあり方や情報共有の必要性、条例制定の動きを報告。

酪農学園大学の遠井朗子教授(環境法学)は、縦覧期間が終わるとアセス文書が見られず、地域全体の影響が把握できないなど現在の制度の課題を指摘した。

日本野鳥の会では、風力発電の影響を受けやすい野鳥の生息地情報などをまとめたセンシティビティマップ(風力発電と野鳥の脆弱性地図)の作成に取り組んでいる。完成すれば、環境影響を評価する際に役立つと考えられている。

(加藤やすこ・環境ジャーナリスト、8月26日号)

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