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「社内のセクハラ被害で自殺」――『道新』の対応を民事提訴

2016年9月8日10:24AM

『北海道新聞』函館支社の嘱託看護師だった松本A子さんが同社男性社員2人からセクハラ(性的いやがらせ)を受け、同社が適切な対応をしなかったなどを理由に自殺した(詳細は本誌昨年12月25日号参照)として、A子さんの両親が8月22日、同社社員と会社に約8600万円の損害賠償を求める訴訟を函館地裁に起こした。

また、民事訴訟に続き、同社社員2人の刑事不起訴処分を不服とし、函館検察審査会に審査申立も行なった。本件では昨年5月に社員を暴行などの容疑で告訴したが、今年3月31日に不起訴となった。

『道新』は「セクハラの事実は存在しない」と否認しているが、原告側は「A子さんの生前、同社が謝罪の場を設定し、社員が謝罪文を渡したのは、セクハラがあったから。同社の説明は矛盾している。報道機関を自負するのであれば、その使命を果たし、自ら真実を調査して明らかにし、不正を追及すべきだ」と主張する。

訴えでは、同社社員のA子さんに対するセクハラ行為は共同不法行為に該当。会社も社員のセクハラ防止対策を怠り、事実関係を調査することなく放置し、A子さんが配置転換を求めても分離措置に応じないなど事後対応にも問題があり、職場環境配慮義務違反および不法行為責任に当たるとする。

今回新たに、A子さんのスマートフォンから留守番電話の録音が発見された。事件後の昨年1月と2月に『道新』社員から9件の着信記録があり、A子さんの残した告発文書を裏付ける内容という。

A子さんの父親は、「ここまで証拠がそろい、セクハラが娘の虚言だとは認められない。『道新』の不起訴の記事には、『嫌疑なし』『セクハラはなかった』と書かれていたが、それこそが?であり、許すことはできない」と述べた。

『道新』経営企画局は「提訴されたことは遺憾。当社の考えは裁判で明らかにする」としている。

(木村嘉代子・フリーライター、8月26日号)

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