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参院選は圧勝の与党と、民進・共産の明暗くっきり――3分の2獲得で“改憲”現実味

2016年7月25日12:21PM

共産党志位和夫委員長(右)と小池晃副委員長。東京・渋谷区の党本部。(撮影/編集部)

共産党志位和夫委員長(右)と小池晃副委員長。東京・渋谷区の党本部。(撮影/編集部)

7月10日に投開票された第24回参院通常選挙は、大方の予想通りに自民党、公明党、おおさか維新の会の3党で77議席を獲得し、非改選の議員と併せて憲法改正案の提出に必要な3分の2を獲得した。同日夜9時30分過ぎ、自民党の開票センターに姿を現した安倍晋三首相は、満足げに頬笑みながら谷垣禎一幹事長らと握手した。

公明党本部の開票センターでは、山口那津男代表の表情も晴れやかだった。選挙区で擁立した7人の公認候補は全て当選し、比例区では7議席を得ている。

その一方で浮かない表情だったのが、共産党の志位和夫委員長だ。6年前の3議席から6議席に倍増したものの、今年4月の第5回中央委員会総会で採択された「比例区で850万票・15%以上、複数区での勝利」という目標とはほど遠い。とりわけ痛かったのは、選挙区では東京選挙区の山添拓氏しか当選できなかったことだ。当選圏内と思われていた大阪選挙区や神奈川選挙区で公認候補を落としただけではない。埼玉選挙区では公明党現職の西田実仁氏と激しく競った伊藤岳氏も落ちている。当選者の名札に最初のバラを付けた時、志位氏の顔があまりにも暗いので、撮影していたカメラマンらは何度も「笑って」と声をかけたほどだった。

一方で民進党の岡田克也代表は、普段と変わりない様子だった。「落選したら次期代表選に出ない」と岡田氏が全力で応援した三重選挙区の芝博一氏は、岡田氏(当時、自民党)に地盤を譲った故・山本幸雄元自治大臣の孫で自民党の公認候補である佐知子氏と接戦を繰り広げた末に当選した。民進党が獲得した32議席は6年前の参院選で獲得した44議席には及ばないが、3年前の17議席よりは多い。しかし当時の民主党代表だった海江田万里氏はその責任をとらず、細野豪志氏だけが幹事長を辞任してこれに抗議した。

「3分の2をとらせない」がキャッチコピーであったにも拘わらず、岡田氏は「公明党も維新も、9条は変えないと言っている」とはぐらかした。9月に予定されている次期代表選についても、「出馬は白紙」と述べている。

しかし情勢は変わっている。

民進党の蓮舫代表代行が7月9日、銀座で街宣した。この時の観衆の数は、その前の週に安倍首相が参加した自民党の街宣の動員数とほぼ同じ。他の候補応援重視のため、自身の街宣は数回のみだったが、それでも蓮舫氏は112万票以上を獲得している。

その数字に、「国政に尽くしたい」と東京都知事選を断った彼女の意気込みが見えた思いがした。

(天城慶・ジャーナリスト、7月15日号)

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