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民主的意思決定経ず、独裁化する安倍首相と今井首相秘書官――「リーマンショック前」の裏側

2016年6月20日10:30AM

資料を説明する玉木雄一郎衆院議員。6月1日、東京・千代田区。(撮影/横田一)

資料を説明する玉木雄一郎衆院議員。6月1日、東京・千代田区。(撮影/横田一)

安倍首相の消費増税延期に対して、民進党が徹底追及をスタートさせた。6月1日の首相会見を受けて、それまでサミットで配布された文書を調査していた「『リーマン・ショック前夜』検証チーム」を、「安倍政権公約違反調査チーム」に名称変更。首相の側近である今井尚哉首相秘書官に出席要請をしながら、安倍政権の独裁的体質を浮彫りにしようとしているのだ。

調査チームの玉木雄一郎衆院議員は、「これは世界経済の危機ではなくて、日本の統治機構、民主的意思決定プロセスの危機といえます」と強調した上で、こう続けた。

「サミットで各国首脳に配布されたA4で4枚の文書には、英語版と日本語版があるのですが、日本語版には全ページに『リーマンショック』という文言が入った解説が加えられていた。新興国の景気減速と08年のリーマンショックを並べることで世界経済のリスクを強調、アベノミクスの失敗を新興国の要因にツケ回して、増税延期を正当化する内容でした。

問題の文書は、詐欺師まがいの代物。サミット前の月例経済報告には「世界の景気は、弱さがみられるものの、全体としては緩やかに回復している」と楽観的に捉えていたが、配付文書には「悲観的予測」が並ぶ。「世界のエネルギー・食料・素材など商品価格はリーマンショック前後の下落幅である55%と同じ」「新興国の投資伸び率はリーマンショックより低い水準まで低下」という具合だ。この文書を配布して安倍首相はサミットでリーマンショック級の経済状況を共有しようとしたが、キャメロン英国首相に「危機とまで言うのはいかがなものか」と一蹴された。

【今井氏関与の真偽答えず】

この検証チームの5回目会合が開かれた1日、関係省庁の官僚が出席する中、玉木氏らは「『リーマン資料』極秘準備 経産主導、財務・外務反発」と銘打った同日付『毎日新聞』の記事の事実関係について問い質した。関連部分は以下の通りだ。

「(文書の)作成は経済産業省出身の今井尚哉・首相政務秘書官と菅原郁郎・同省事務次官らの『経産省ライン』が主導したとされる。ペーパーは、サミット開幕を2日後に控えた24日、首相官邸で開かれた関係省庁の『勉強会』の席上、突然配布された。予定通りの増税実施を求める財務省にとっては『寝耳に水』(幹部)。(中略)麻生太郎副総理兼財務相は『何がリーマン・ショック前だ。変な資料作りやがって』とうなった」。

しかし「『毎日』の記事は事実か、それとも誤報なのか」という質問に対し、官僚たちは今井氏の関与の真偽を答えようとしなかった。サミット関連文書を取りまとめた外務官僚はもちろん、財務官僚も経産官僚も「政策の調整プロセスについては逐一お答えしない」と繰り返すだけだった。

玉木氏は呆れた。「今井秘書官を中心として資料を極秘に作成し、外務省も内閣府も他の関係省庁も知らされずに、5月24日の勉強会で知らされたのが本当だとしたら、総理の意向を受けた一部の人たちだけで説明資料を作成、民主的過程を経ずに独断で政策を一夜にして変えてしまうことになる。近代民主主義国家にあってはならないことだ」。

山井和則衆院議員もこう批判した。「予算委員会の審議で首相が増税と繰り返し答弁したのに、国会が終わってから全部引っくり返した。『国会で説明はしない。選挙で信を問う』というのでは、民主主義国家ではないでしょう」。

しかし2日と3日の調査チームの会合への出席要請を受けた今井氏は、理由も言わずに欠席。しかも、消費増収分を充てるはずだった社会保障の充実のうち、何をやめて何が残るのかについても厚労省の担当者は「年末の予算審議で検討」と不明確なまま。

「今井氏は『(文書を)示すと言ったら示す』と外務省関係者に発言したと『毎日』は報じましたが、強権的体質の今井氏は安倍首相とよく似ている。官邸独裁政治という状態です」(玉木氏)

日本の意思決定過程(民主主義)が危機的状況にあるのは確実だ。

(横田一・ジャーナリスト、6月10日号)

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