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横浜入管でまたも人権侵害か――医療妨害や暴力行為

2016年6月16日10:21AM

外国人への深刻な人権侵害が続く東京入国管理局横浜支局(横浜入管)。2010年、この収容所から強制送還されたガーナ人男性が、空港で入管職員に制圧行為を受け死亡した。昨年8月にも、イスラム教徒の被収容者に豚肉を提供するという事件があり、マスコミ報道された。

そんな横浜入管でまたもやひどい人権侵害の疑いである。「仮放免者の会」がブラジル人男性Aさんに面会して聞き取ったところ、体調不良のために外部の病院に複数回受診した際(入管に医師の常駐はなく、被収容者が外の病院での受診を希望してもなかなか認められない)、診察に立ち会った入管職員に治療を妨害されたという。職員は医師に「血液検査だけして下さい。他の検査はしなくていい」と言ったり「入管は予算で動いている。予算がない」などと言ったという。どのような検査・治療を行なうかは、医師と患者本人が相談して決めるべきもの。職員の行為は無資格者による医療行為に当たり、違法である。

さらに、Aさんは、入管職員に暴行を受けたと主張する。4月26日、居室に突然入ってきた入管職員が、Aさんに別の部屋に移れと言ってきた。Aさんは移る理由を尋ねたが、職員はそれには答えず、Aさんの腕を持って強く引っ張り無理やり部屋の外へ出そうとした。Aさんは抵抗したが、その際、手首と唇が切れて出血した。「仮放免者の会」はAさんに面会して、けがの状態と、着ていたTシャツについた夥しい血痕を確認している。

「仮放免者の会」が5月13日に行なった申し入れに対して、横浜入管は、職員が医療妨害したというのは「あくまで本人の主張」、暴行については「職員が腕を掴んだ事実はあるが、血がどこから出たのかはわからない」などと主張している。横浜入管は説明責任を果たすべきである。密室の人権侵害は終わらせなければならない。

(永野潤・仮放免者の会、6月3日号)

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