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共産党破防法団体問題を質問主意書の鈴木貴子議員――「自民党入り」の手土産か

2016年4月12日1:04PM

政府は3月22日、共産党について現在も破壊活動防止法に基づく調査対象団体であるとする答弁書を閣議決定した。無所属の鈴木貴子衆院議員が提出した質問主意書に対するものだ。

これについて共産党の山下芳生書記局長は激しく抗議。同日の記者会見で、1989年2月18日に不破哲三副議長(当時)が公安調査庁長官に対する質問で、当時まで同庁が破防法に基づいて共産党を調査してきたが、公安審査委員会に一度も適用申請していないこと、質問主意書と答弁書にある「調査対象団体」の概念は破防法に出てこないことを主張した。また同答弁が憲法上の結社の自由に対する不当な侵害で、改めて厳重に抗議するとともに、答弁の撤回と同庁の速やかな解散を求めている。

なぜ今、鈴木氏がこのような質問主意書を提出したのか。それは4月24日に行なわれる衆院の北海道5区補選と密接な関係がある。

当初は自民党が擁立した故・町村信孝氏の二女の夫の和田義明氏が圧倒的に有利とされた。しかし民進党や共産党など野党及び市民団体が推す池田真紀候補が追い上げ、熾烈な戦いとなっている。

そのような状況を変えるべくタイミングで提出された質問主意書の目的は、明らかに「池田氏の支援の一角を崩す」ことだった。これに鈴木氏の父・宗男氏との因縁が絡んでくる。

2002年に勃発した鈴木宗男事件。とりわけ「ムネオハウス事件」について共産党の佐々木憲昭衆院議員(当時)が厳しく追及するなど「反ムネオキャンペーン」を張った。その「恨み」がいまだ残っているのだ。

加えて鈴木氏の「自民党入り」問題があり、昨年12月に宗男氏が安倍晋三首相と会って決定済みだ。「北海道5区には新党大地の票が最大3万5000票ある」と自負する鈴木氏にとって、質問主意書はその「手土産」といえるのだ。

(天城慶・ジャーナリスト、4月1日号)

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