考えるタネがここにある

週刊金曜日オンライン

  • YouTube
  • Twitter
  • Facebook

【タグ】

太宰府天満宮の宮司が競馬で大儲け!?──「学問の神様」直系の子孫は神主ならぬ馬主だった!!(『週刊金曜日』取材班)

2016年2月20日3:01PM

ことしも受験シーズンがやってきた。大学受験、高校受験、中学受験とステージはさまざまだが、志望校合格に向けて努力してきた受験生の真剣なまなざしは全国共通だろう。

この時期、全国から受験生が訪れる神社がある。「学問の神様」菅原道真公の魂が眠る太宰府天満宮(福岡県太宰府市)だ。現在の宮司は西高辻信良氏(第三九代、63歳)で、菅原道真の直系の子孫である。その西高辻氏について、ある宮司がこんな話を明かした。

「太宰府天満宮は全国津々浦々にある天満宮の総本社。西高辻氏は神社界の重鎮です。その西高辻氏がみずから競走馬を所有し、競馬で大儲けしています。彼の馬はダンディスタイル、ミカサハヤテオー、そしてユミチャンスマイル。2015年は川崎競馬などで数百万円を獲得していました」

小誌も調べてみると、たしかに西高辻氏が所有する馬ダンディスタイルは昨年、川崎競馬や浦和競馬で数百万円の賞金を稼いでいた。そこそこの実績ではないか。宮司が続ける。

「宮司が競走馬を持つことを禁じる法律はありませんよ。ただ、毎年多くの受験生が全国から訪れ、合格を祈願して『学問の神様』にお賽銭を投げている。おみくじをひいたり、お守りを買っている。そんな藁にもすがるような受験生の身銭が、西高辻氏の競馬遊びのカネに化けているわけです。宗教法人である神社は税制で優遇を受けていますし、なにより、宮司とは、神職とはそんなものかと思われたくないのです」

神社本庁の役員理事

日本には約9万もの神社があるとされている。神社に仕える神職は約2万人あまりと言われ、8万近くの神社を束ねているのが宗教法人・神社本庁(東京都渋谷区)だ。

神社本庁総裁の池田厚子氏は昭和天皇の娘で、現在の天皇明仁の姉。ナンバー2の統理、北白川道久氏もやはり皇族出身で、保守系団体「日本会議」の顧問も務める。皇族以外の人間が就任できるのはナンバー3の総長からで、現在の田中恆清総長(石清水八幡宮宮司)がそれにあたる。総長の下に副総長、常務理事、理事のポストがあり、西高辻氏は全国に十数人しかいない理事の一人である。それに加え、地元の福岡県神社庁の庁長も3期務め、異例の4期目に名乗りをあげる見通しだ。

「神社本庁の理事になるには一定の額の負担金(拠出金)が必要です。太宰府天満宮は西日本でも最有力神社の一つ。かなりの額を拠出しているはずです」(別の宮司)

学問の神様の子孫はなかなかの“重鎮”のようである。小誌は西高辻氏に事実関係と、神職でありながら競馬で儲けることについて見解を問うた。西高辻氏は秘書を通してこう回答してきた。

「かつて複数頭の競走馬を持っていたのは事実です。ただ、いまはダンディスタイル1頭だけです」

――獲得した賞金の額は?

「年平均で400万円ほど獲得していますが、馬を維持するのにも年間400万円ほどかかるのです」

――税制優遇されている神社の宮司が競馬遊びするのは?

「儲けすぎず大きな損も出していません。あくまで趣味の範囲ですから、問題はありません」

さすがは学問の神様らしい“ご名答”である。

(1月29日号)

【タグ】

●この記事をシェアする

  • facebook
  • twitter
  • Hatena
  • google+
  • Line

電子版をアプリで読む

  • Download on the App Store
  • Google Playで手に入れよう

金曜日ちゃんねる

おすすめ書籍

書影

黒沼ユリ子の「おんじゅく日記」

ヴァイオリンの家から

黒沼ユリ子

発売日:2022/12/06

定価:1000円+税

書影

エシカルに暮らすための12条 地球市民として生きる知恵

古沢広祐(ふるさわ・こうゆう)

発売日:2019/07/29

上へ