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福島第一原発の被曝で事故後初の労災認定だが――二重基準廃し積極的認定を

2015年11月12日10:17AM

労災認定された男性は、原子炉建屋の覆いを造る作業などに従事していた。(提供/東京電力)

労災認定された男性は、原子炉建屋の覆いを造る作業などに従事していた。(提供/東京電力)

厚生労働省は10月20日、東京電力福島第一原発事故の収束作業に従事し、その後急性骨髄性白血病になった元作業員に、労災を認定したと発表した。同原発の収束作業では、これまでに8人が放射線被曝の労災を申請したが、認定されたのは今回が初めて(3人は不支給、1人は取り下げ、3人は調査中)。認定されれば医療費全額と休業補償が支給される。

労災が認められたのは、北九州市に住む40代前半の男性。2012年10月~13年12月の約1年1カ月間、建設会社の社員として同原発で作業し、15・7ミリシーベルトを被曝した。

1976年に定められた放射線被曝による白血病の労災認定基準では、(1)年5ミリシーベルト以上の被曝(2)被曝開始から1年を超えてから発症(3)業務以外の要因が明らかでない――との要件を満たせば認定される。

ただし、この基準は、年5ミリシーベルト以上の被曝で白血病を発症するという「因果関係」を国が認めたものではない。厚生労働省作成の文書によれば、「100ミリシーベルト以下の低線量被曝の影響は科学的に証明されておらず、業務と疾病との因果関係を個々の労働者ごとに認定するのは容易ではない」ことから「労災制度の趣旨に鑑み、労働者への補償の観点から」定めたものである。

しかし、福島第一原発の事故後、白血病以外の固形がんについては、なぜか100ミリシーベルト以上の被曝が認定の目安とされてしまった。これはダブルスタンダード(二重基準)である。固形がんについても、低線量被曝の影響が科学的に証明されていない以上、被曝以外の要因が明らかでない限り、労働者への補償の観点から積極的に認定すべきだ。

長期にわたる事故収束作業を進める上でも、労働者が後顧の憂いなく働ける環境整備が不可欠である。

(布施祐仁・ジャーナリスト、10月30日号)

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