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東京高裁、「渋谷区の野宿者排除は違法」

2015年10月16日10:19AM

判決後の記者会見。(9月17日、東京・千代田区司法記者クラブ。写真/林克明)

判決後の記者会見。(9月17日、東京・千代田区司法記者クラブ。写真/林克明)

東京都渋谷区立宮下公園から渋谷区が野宿者を排除したのは違法とする東京地裁の判決を不服として区が控訴していた裁判で、9月17日に控訴棄却の判決が言い渡された。

2008年に公園の命名権をスポーツメーカーのナイキジャパンに年間1700万円で売り、ナイキが自費で公園施設を新設する「宮下NIKEパーク」計画が浮上した。これを実現するために渋谷区は10年9月、公園を全面封鎖して野宿者たちのテントや私物を撤去。その際に野宿者を担ぎ上げて強制的に追い出した。

これに対し、野宿者と支援団体が国家賠償請求訴訟を起こし、今年3月13日に東京地裁は、強制排除を違法とし、11万円の賠償を区に命じる判決を下したのだ。判決を不服として渋谷区は控訴審で争ったが、その主張はすべて退けられた。

訴訟代理人の戸館圭之弁護士が言う。「戦前にしばしばとられていた直接強制を行なったことが違法とされた点が重要です。裁判所の許可もなく、何の法的権限もなく、行政が直接的に実力行使することを違法とした意義は大きい」。

これまで他の都市でも野宿者排除が問題となっており、さらに東京オリンピックに向けて野宿者を排除する動きもある中で、今回の判決は、一方的かつ暴力的な行政による野宿者排除に歯止めをかけるだろう。

(林克明・ジャーナリスト、10月2日号)

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