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ホリエモンの高校生ユニオンへの批判にも反論――「ブラックバイト是正を」

2015年9月29日11:44AM

「労働時間を1分単位で算出するよう通達を」「労働知識を周知する冊子を高校生に配布してほしい」「自爆営業の禁止を」――。

8月27日に発足した首都圏高校生ユニオンが、ブラックバイトの是正を求めて厚生労働省へ提出した要望書への回答が9月3日、東京都内で組合側に示された。

15項目からなる要望書に対して厚労省は、労働時間を15分や30分などの単位で算出し、端数を切り捨てることは、賃金未払いなどと同様に労働基準法違反に当たると明言。労働者が使用者の指揮命令下にある場合は労働時間であり、文書での是正指導の対象になるとした。さらに、使用者が繰り返して指導に従わない際には書類送検を行なう、とも答えた。

また、高校生向け冊子の配布について「方法を含め検討する。事業者向け冊子も検討する」と応じた。一方で、横行する自爆営業(ノルマ達成のため自腹で商品購入)の是正については「労基法に抵触するわけではなく、禁止の通達を出すのは困難」と難色を示した。

高校生ユニオンの発足に対しては、ホリエモンこと堀江貴文氏らがツイッターで「頭おかしい」「(ブラックなバイト先を我慢せず、すぐに辞めれば)業者には淘汰圧力がかかる」などと批判している。

回答の場で、ユニオンの高校生3人は「求人広告よりも時給が安かった」「辞めさせてもらえない」「労働時間が5分単位で算出された」などと実情を訴えた。

ネットでの反応にユニオンの高校生の一人は「おかしいことは正すのが当たり前なのに、社会はそうなっていないと感じた」と一言。

首都圏青年ユニオンの宮城みのり氏は「働く本人も使用者も労働法を知らず、そもそも違法という認識がない。グローバルな人材の育成どころか、このままでは貧しい国になっていく。経済を回すためにもブラックバイトへの世論の関心が高まり、現状が是正されるべきだ」と指摘した。

回答の場に同席した民主党の山井和則衆院議員も「ユニオンの訴えは特殊なケースではない。アルバイトの現場では違法な働かせ方が常態化している」と述べた。

初めての労働体験がブラックバイトで、労使双方が違法性を認識しない現状は、ブラック企業がはびこる新たな温床と言える。

(斉藤円華・ジャーナリスト、9月11日号)

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