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「首都圏高校生ユニオン」発足――ブラックバイトに対抗

2015年9月17日12:04PM

都内で会見に臨む首都圏高校生ユニオン。右から神部氏、羽多野さん、篠さん。(撮影/斉藤円華)

都内で会見に臨む首都圏高校生ユニオン。右から神部氏、羽多野さん、篠さん。(撮影/斉藤円華)

労働者の無知につけ込み違法に働かせる「ブラックバイト」の横行に対抗すべく、労働組合「首都圏高校生ユニオン」が発足。8月27日に東京都内で会見した。

当初の加盟数は5人で、会費は月500円。ブラックバイトの労働相談や団体交渉に取り組む「首都圏青年ユニオン」(神部紅委員長)が活動を支援する。

都内定時制高校2年の羽多野幸遥さんは、以前勤めていたコンビニ店でパワハラ被害に遭った。「オーナーや店長から、私だけ他の社員よりも厳しく注意された」。母親に首都圏青年ユニオンを紹介され加盟。「気持ち良く働きたい」との思いから店との団体交渉に臨み、解決した。羽多野さんは「これからは自分が助ける側になりたい」と意気込む。

高校2年の條大樹さんが働く居酒屋チェーンでは、労使間協定がないにもかかわらず給与から制服代が天引き。しかも時給計算は1分単位ではなく15分だった。「仕方がないと諦めていたが、5月に羽多野さんの体験を聞き、組合に参加した」と條さん。現在、店と団体交渉中だ。

千葉県内高校3年の小木友梨子さんが勤務するコンビニ店では、夏祭り時などにタダ働きを強要し、「給料」は菓子1個。店は高校生を「勇者」と称える。小木さんは「試験1週間前からの休みを希望したら『困る』と言われ、3日前からしか休めなかった」と話した。

羽多野さんらの毎月のバイト収入は2万~6万円で、定期代や携帯電話代などに使う。條さんは「親に負担は掛けたくない」と話す。

会見に同席した神部氏は「高校生の労働相談が増えている。しかし学校では労働組合の役割を教えず、高校生が労組にたどり着く回路がなかった。今後は高校生自身が仲間のために闘うスタイルが必要」と説明した。ブラックバイトは違法性が強いため、団体交渉すればほぼ全てで解決するという。

(斉藤円華・ジャーナリスト、9月4日号)

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