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川内原発に新たな問題――法令違反の高経年化審査

九州電力鹿児島県川内原発の再稼働が迫る中、運転開始30年の原発に必要とされている高経年化(老朽化)審査の問題が新たに浮上した。川内原発1号機は、運転開始から31年以上経つが、高経年化審査が未了だ(8月3日現在)。認可なしに30年を超えた、はじめてのケースとなる。

この制度は、新規制基準の適合性審査とは別に、運転開始30年を経過する前に、電力事業者が技術評価および長期保守管理方針を策定。これらを盛り込んだ保安規定について、規制当局の認可を受けなければならないというもの。その後の保全計画に反映させる。

保安規定に組み込まれたのは原子力規制委員会になってからだが、30年までに審査を終えるルールは旧原子力安全・保安院時代には厳格に守られていた。これが規制委発足後、いきなり破られたのだ。

実際の危険も伴う。たとえば、九電が実施した主給水系配管の腐食減肉を考慮した耐震安全評価では、許容値1に対し0・991とぎりぎり。薄くなった配管が地震により破断し、大事故に至るおそれもある。

7月3日、九電は、基準地震動の引き上げに伴う補正申請を提出。規制委は、7月13日から審査を開始した。しかし、審査が終了していないのに再稼働することに批判が高まるや否や、逆に審査を再稼働日程に合わせ、再稼働直前の8月5日に審査を終了させる見込み。外部有識者ヒアリングはおろか、現場検証も行なわない。明らかな「駆け込み審査」に批判の声が高まる。

「規制委は九電の評価を丸呑みにして、住民の安全を犠牲にするつもりか」と原発から30キロ圏内の鹿児島県いちき串木野市に住む高木章次さんは憤る。

市民団体らは、これが「高経年化対策実施ガイド」や原子炉等規制法の規定に違反していると指摘し、違法状態にある原子炉の再稼働は許されないと批判を強めている。

(満田夏花・FoE Japan、8月7日号)

人種差別撤廃基本法の実現を――認められていない犯罪

8月4日から審議入りした反ヘイト・スピーチ法(人権等を理由とする差別の撤廃のための施策の推進に関する法律)案に先立ち、「今こそ人種差別撤廃基本法の実現を」と題する集会が7月22日、参議院議員会館で行なわれ、約140人が参加した。主催は、外国人人権法連絡会ら4団体。

在日朝鮮人をはじめ、マイノリティーの人々を貶める街頭宣伝やデモが繰り広げられていることから、法案は5月22日、国会に提出されていた。2カ月以上経ち、ようやく審議が始まった。

基調講演を行なった龍谷大学の金尚均教授は、2009年12月の在特会らによる京都朝鮮第一初級学校に対する襲撃事件の裁判を引き合いに、法律の必要性を次のように訴えた。

「(判決では)人種差別を認定し、民族教育を行なう社会環境も損なわれたことも指摘された。これまでも存在した差別に対する法的制裁は皆無で、差別がなかったことにされていたが、今回の判決は、“あったことをあった”とした意義は大きい。しかし、特定の個人が具体的な被害を受けないと民族差別が犯罪行為だと認められない問題が残る」

この指摘のように、具体的な個人ではなく、「朝鮮人」といった一定の集団に対する侮辱的・卑俗的な行為がなされたとしても、対処できない現状がある。

人種差別撤廃基本法を求める議員連盟会長の小川敏夫参議院議員(民主)も集会に参加し、「現行法では、個別具体的な犯罪被害がないと、集団として差別の対象となる人々は救われない。法案を確実に通すために、内容もゆるやかにし、罰則も設けていない」と述べた。

まずは差別が犯罪であることを法で明確化することを優先し、法制化で強制力が生じる場合の懸念にも対応するための妥協案でもあるだろう。

(林克明・ジャーナリスト、8月7日号)