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新国立競技場計画だけでなく――アパート移転も撤回を

霞ヶ丘アパート問題にも言及した安藤忠雄氏の会見。(7月16日、東京・千代田区、撮影/永尾俊彦)

霞ヶ丘アパート問題にも言及した安藤忠雄氏の会見。(7月16日、東京・千代田区、撮影/永尾俊彦)

新国立競技場計画について、安倍晋三首相は「白紙に戻し、ゼロベースで見直す」と表明したが、内閣府と文部科学省の担当者は、隣接する都営霞ヶ丘アパートを廃止する計画についても「廃止しないことも含めてゼロベースで見直す」ことに含まれると述べた。共産党都議団が7月23日に同府省から説明を受けた中で明らかになった。

これまで、東京都は「国策に協力する」という理由で一方的に同アパート住民に移転を求めてきた。住民側は、6月22日にも都庁で記者会見を開き、舛添要一知事に直接対話を求めるなど再三話し合いを求めてきたが、知事は「住民の大半は早期移転を望んでいると聞いている」などとして話し合いを拒んでいる。これに対して、同アパート住民の甚野公平さんは会見で「今残っている住民は100パーセント動きたくないと思っていると断言できます」と反論した。

7月16日には、白紙撤回される前の新国立競技場デザイン選考で審査委員会の委員長を務めた建築家の安藤忠雄氏が会見を開き、その中で筆者は計画が巨大すぎて同アパート住民が立ち退きを求められていることをどう思うか聞いた。「(関係者が)徹底的に話し合わないかんのです。これからオープンに、公開しながらやられたほうがいいんじゃないか」と他人事のような答えだったが、安藤氏は話し合いの必要性は認めた。

同アパートは新国立競技場関連施設として公園になる計画だった。「神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会」共同代表で建築家の大橋智子さんは、都市公園の中にも建物を建てている例はあるという。大橋さんは「かつては10棟で400世帯が住んでいましたが、現在残っているのは約140世帯なので、公園の中に3棟~4棟残して改修すればその方々に住んでいただけます。これは、国際オリンピック委員会が求める『レガシー』(遺産)にもなります」と提案している。

(永尾俊彦・ルポライター、7月31日号)